メディア王、ルパードマードック引退
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/32475404.html
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アメリカのメディア王として知られるルパート・マードック氏が、ニューズ・コーポレーションとフォックス・コーポレーションの会長を11月に退任することが21日、発表されました。マードック氏は父親から引き継いだオーストラリアの新聞事業を基盤にイギリスの新聞社タイムズやアメリカの映画会社20世紀フォックスなどを買収してきました。2007年には経済紙ウォールストリート・ジャーナルを発行するダウ・ジョーンズも傘下に収め、世界を代表する一大メディアに育てました。
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アメリカのメディア王となっていますが、マードック氏はオーストラリアのメルボルン生まれです。1985年にアメリカ合衆国の市民権を獲得しているので、その時に祖国の国籍を捨てています。つまり、移民という事ですね。父親が新聞を主体にするメディア事業をやっていたので、その急死によって、イギリスのオックスフォード大学在学中に呼び戻されて、事業を継いでいます。その時、相続税を払う為に、多くの所有していた事業を売却せざるを得なくなり、手元に残ったのは「ザ・ニューズ」という新聞社だけでした。
快進撃のきっかけは、アデレード近くで起きた少女殺人事件で逮捕されたアボリジニ(オーストラリア原住民)のマックス・スチュワート氏の冤罪と死刑反対を主張した大キャンペーンです。ありがちですが、アボリジニは、白豪主義のオーストラリアにおいて、2級市民扱いで、迷宮入りしそうな殺人事件があると、犯人に仕立て上げられる事も多々ありました。実際、この事件も「ちゃんと調べ直したら」冤罪である事が判明して、スチュワート氏は釈放されています。
オーストラリア内の新聞社を次々と買収して、司令塔としての「ニューズ・リミテッド」を設立。オーストラリア初の全国紙である「ジ・オーストラリアン」を発行して、政治的な影響力を拡張していきます。1969年には、イギリスの大衆紙大手の「サン」を買収。毎号、カラーのヌード写真を掲載するなど、読者層を特定したゲス路線で人気を得て、労働者階層の人気を不動のものにします。この事業の成功を足がかりに、イギリスの地方新聞を次々に買収。1979年に世界メディア戦略の核になる「ニューズ・コーポレーション」を設立します。
翌年にイギリスの高級紙である「タイムズ」を買収。イギリスの選挙において、どの階級に対しても絶大な影響力を行使できるようになります。実際、労働党のブレア元首相は、選挙にあたって、マードック氏に頭を下げに出向いたという事実が判明しています。また、イギリスが関与した戦争においても、世論形成をする為に暗躍したと言われていて、その時の政府の都合に合わせて大衆操作をする尖兵として活躍しました。彼が、「メディア王」として悪名が轟き始めるのは、この頃からです。何せ、映画「007」シリーズでも、「悪のメディア王」として、彼をモデルにしたと思われる敵役が登場します。また、この年には、アメリカの映画会社である「20世紀フォックス」も買収しています。
1987年には、彼の父親が、かつて所有していた「ヘラルド・アンド・ウィークリー・タイムズ」社を買収し、父親がかつて築いていたメディア帝国の本拠地を奪還しています。2005年には、当時、世界最大のSNSだった「My Space」を買収。2007年には、ウォルストリート・ジャーナルの発行元であるダウ・ジョーンズを傘下に収めています。
この辺りまで、「向かう所敵無し」だったのですが、2011年にイギリスの傘下の子会社「ニュース・オブ・ザ・ワールド」の盗聴事件が一大スキャンダルになり、手段を選ばない姿勢が批判の的になります。ちなみに、同誌は、これが原因で廃刊に追い込まれています。その後も、抜群のバランス感覚で、批判に晒されながらも、常に自身のメディア帝国に影響力を持ち続けていたわけですが、とうとう引退になったようです。既に92歳と高齢であり、部下との意見の対立も、良く報道されていましたので、さすがに傑物の神通力も衰えてきたのでしょう。
今後、彼がどう振る舞うかは判りませんが、一つの世界大戦後の体制の終焉の象徴とも言えるでしょう。東西冷戦を経て、融和に向かうかに思えた世界が、再び対立と分断の時代に入り、一つ前の世代を象徴する人物が、次々と退場していきます。』