米国、イランと囚人交換 8800億円の資産凍結を解除
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR183R40Y3A910C2000000/
『【ドバイ=福冨隼太郎、ニューヨーク=中村亮】米国とイランは18日、囚人交換を実行した。米国は交換の条件になっていた約60億ドル(約8800億円)にのぼるイラン資産の凍結を解除し、イラン中央銀行が確認した。関係悪化を食い止めて核協議の再開を模索する。
バイデン米大統領は18日の声明で、イランが米国人5人を解放したと発表した。カタールを経由して米国に戻る予定だ。解放交渉を仲介したカタールとオマーンに謝意を示した。
声明で不当に拘束された米国人の解放に関し「政権発足1日目からの優先課題だ」と強調した。ロシアやシリア、ベネズエラをあげて「まだあまりにも多くの米国人が違法に拘束されたままだ」と言及し、解放へ取り組むと訴えた。
イラン国営テレビは18日、米国内で収監されるなどしていたイラン人5人が解放され、このうち2人がカタールに到着したと伝えた。イラン外務省報道官は5人のうち2人は米国にとどまり、1人は家族のいる第三国に向かうと明らかにした。
イラン中央銀行のファルジン総裁は同日、韓国で凍結されていた約60億ドルの資産がカタールの銀行口座に振り込まれたと発表した。カタールで資産を管理し、米国は用途を食糧や医薬品に限定する。
資産は韓国が原油購入のためにイランへ支払う予定だった。米国による対イラン制裁で凍結になっていた。イランは違法に差し押さえられたとして支払いを繰り返し求めてきた。
バイデン米政権は囚人交換に合わせ、イランへの追加制裁も発表した。イランのアハマディネジャド元大統領と情報省を制裁対象に指定した。米国人の拘束に関与したためだと説明した。
米野党・共和党ではバイデン政権がイランに弱腰だとの批判が根強い。追加制裁を通じ、人権問題で譲らない姿勢を印象づけて批判をかわす狙いがある。
バイデン米政権は囚人交換をきっかけにイラン核合意再建に向けた協議再開を探る。
米政府高官は記者団に「イランが米国民の拘束を続けるほど外交の土台をつくれないと明確にしてきた」と述べた。核協議再開の可能性にコメントを控えつつ、囚人解放に関し「外交の障害を取り除く」と言明した。
米国と英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国は2015年、イランの核開発を制限し、経済制裁を解除する国際合意をまとめた。米国のトランプ前政権が18年に合意から離脱して経済制裁を再開。イランは核合意の義務履行を相次いで停止した。』