ミャンマー軍、物価高への統制に綻び 強権手法で混乱
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM12DAT0S3A910C2000000/
※ 今日は、こんな所で…。
『クーデターで国軍が全権を掌握したミャンマーの軍事政権が、物価高への統制策で行き詰まっている。現地通貨の下落で輸入品を中心に物価が上昇する中、食用油などの価格を統制する導入したが、実勢価格は高いままだ。違反する取引業者を見せしめに摘発する強権手法に出るが、かえって市場の混乱を招いている。
8月末、ミャンマー食用油販売協会の会長と同協会の会員企業の幹部4人が突然、身柄を拘束された。現地報道によると、…
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『現地報道によると、5人を連行したのは軍情報機関の軍事保安局(MSA)と、内務省で経済犯罪を扱う特別捜査局(BSI)だとされる。
事情聴取にとどまったのか逮捕されたのかは不明だが、価格統制に違反して高値で食用油を販売した嫌疑をかけられているもようだ。軍事政権は食用油を高値で販売している卸売業者や小売店を通報するよう消費者に呼びかけている。事実上の「密告制度」だ。
当時、食用パーム油の卸売参照価格(統制価格)は1ビス(現地の伝統単位で約1.6キログラム)あたり4155チャット(実勢レートで約170円)に設定されていたが、実際の取引では1万チャット前後に高騰していた。
この結果、むしろ消費者は一段と食用油不足に悩まされることになった。最大都市ヤンゴンにある市場で食用油を売る店の店主はこう話す。「確かに食用油の卸値は参照価格まで下がった。だが仕入れできる量は限られていて5日間で売り切れた。その後は追加の仕入れはできていない」。ほかの市場でも「ほぼ同じような状況」だとみる。
国軍の統制下にある国営紙は11日「食用油に不純物を混ぜた粗悪品が出回っている」と警鐘を鳴らす記事を掲載した。強権的な価格統制が招いた結果ともいえるが、食用油の流通業者を責めるばかりで、政策のまずさには一切触れなかった。
為替市場の統制でも同じようなことが起きている。中央銀行が定める公定レートは2022年8月以降、1ドル=2100チャットで固定した。だが両替商が扱う現金ベースの「実勢レート」は23年8月下旬に同3800チャット前後まで通貨安が進んだ。
急激な通貨安を是正する手段としては、中銀が自国通貨を買い支えるのが一般的だ。だが軍事政権は両替商を逮捕するなど司法権力を行使する安易な「市場介入」策に依存している。
両替商の為替レートが1ドル=3400チャット前後まで戻すなど一定の効果はあった。だが実際には両替商がドルを買いチャットを売る取引にしか適用されず、利用者は恩恵を受けていないのが現状だ。チャットからドルへの両替を求めると「ドルの在庫がない」と応じないケースが相次いでいる。
中銀は外貨管理を強め、送金目的などの審査を厳しくしている。ミャンマーに進出する外資企業にとっても、外貨が確保できるかや送金できるかといった点で「不確実性が高い」(駐在員)状況が続く。
軍事政権は2021年のクーデター以降、銃を突きつけて民衆の抗議運動を弾圧してきた。同じように命令すれば統制できるという論理は、実際の経済政策では通用しない。
(ヤンゴン=新田裕一)』