プーチン氏、北朝鮮の軍事協力に期待 侵攻長期化を視野

プーチン氏、北朝鮮の軍事協力に期待 侵攻長期化を視野
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『ロシアのプーチン大統領は13日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記との首脳会談後、北朝鮮との軍事協力強化に期待感を示した。ウクライナ侵攻で不足が指摘される弾薬などの調達につなげる方針とみられる。プーチン政権は予備役の年齢上限引き上げなどの法改正も進め、侵攻長期化を視野に態勢固めを急ぐ。

プーチン氏はロシア極東アムール州で開催した会談後に国営テレビのインタビューに応じ、北朝鮮との軍事協力について一定の制約があるとしながらも「展望がある」と述べた。人工衛星開発を支援する方針も強調し、北朝鮮との連携を深める姿勢を打ち出した。

今回の首脳会談では共同声明などの発表はなく、具体的な武器取引についての言及もなかった。だが軍事協力でロシアが求めているとみられるのが、ウクライナ侵攻で不足が目立つようになった弾薬だ。

米ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は5日、対ロ制裁でロシアが自国で弾薬などを賄うのが難しくなったために調達先を探しているとの認識を示し、北朝鮮による軍事支援への警戒感を強めた。

ロシアは2022年2月にウクライナ侵攻を開始した。ロイター通信は9日、ロシアが22年に消費した弾薬が1000万?1100万発に達したとの推定を欧米諸国当局者の話として伝えた。ロシアの弾薬生産量は今後数年で年200万発まで増産できる可能性があるとしたが、不足の解消にはつながらないと指摘した。

プーチン政権は「あらゆる種類の兵器を自給している」(メドベージェフ安全保障会議副議長)と主張する。一方で前線からは不足を指摘する声も出ている。侵攻に部隊を派遣した民間軍事会社ワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジン氏は5月に通信アプリに投稿した動画で、ショイグ国防相らに「弾薬はどこだ」と強い口調で訴えた。

ロシア国防省や軍への不信が強まり、ワグネルは6月下旬に武装蜂起を起こした。ベラルーシのルカシェンコ大統領の仲介で反乱は丸1日で終結したが、ワグネルの戦闘員の一部は同国に出国し、ロシアではワグネルが保有していた武器をロシア国防省に引き渡すなど組織解体が進む。

ロシア当局によると、プリゴジン氏らワグネル幹部が搭乗した小型ジェット機は8月下旬にモスクワ北西部で墜落、乗客全員が死亡した。

兵士不足を補うため、プーチン政権は軍の兵員拡充を視野に法改正を相次いで進めている。7月以降、ロシア軍の予備役対象となる年齢上限を5歳引き上げる改正法が成立したほか、徴兵年齢の上限も30歳と3年引き上げる法律も成立した。いずれも24年から施行される。

軍全体の兵力増につなげる狙いとみられる。ロシアは22年9月に部分動員令を発令し、30万人超の予備役を招集した。プーチン氏は23年6月に「今のところ(追加の)動員は必要ない」と述べるなど総動員の発令を否定、新規の契約軍人を確保できていると説明する。
しかし足元ではウクライナ軍の反攻が進んでおり、ロシア軍の兵士不足は深刻になりかねない。

ウクライナはロシア制圧地域の奪還に向けて欧州諸国が支援した戦車を本格的に投入し、南部ザポロジエ州などの前線でロシアの最初の防衛線の一部を突破した。ウクライナ軍は8月末に奪還を発表した同州ロボティネから南進を続けているとみられ、ロシアの制圧地域を東西に分断することを目指している。

金正恩氏は9月13日の首脳会談でロシアのウクライナ侵攻について「正義の偉業を行っている」と全面的に支持する考えを強調した。接近する両国の軍事協力がどこまで進むかが、ウクライナの戦況にも影響を与える可能性がある。
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竹内舞子
経済産業研究所 コンサルティングフェロー、CCSIアジア太平洋 CEO
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ひとこと解説

北朝鮮はロシアに対し武器・弾薬の供給だけでなく、武器の補修や整備などのための人員を派遣する可能性もあります。北朝鮮にとっては国連による北朝鮮制裁には効果がないことを見せつけ、外貨やミサイル開発に必要な支援をロシアから得る格好の機会です。
ロシアのラブロフ外相は、昨日の朝ロ会議後、2017年に国連が北朝鮮制裁を強化したころと今の地政学的状況は全く違うと述べるとともに、北朝鮮制裁は市民生活に深刻な影響を与えているとして批判を強めています。
安保理での解決が難しい中で、米国はロシアや北朝鮮の企業などに対する独自制裁で対抗しています。しかし、朝ロの協力を止める強い手段が取れない大変難しい状況です。
2023年9月14日 5:55 』