米国、イラン資産60億ドルの凍結解除 囚人交換へ前進

米国、イラン資産60億ドルの凍結解除 囚人交換へ前進
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN123M40S3A910C2000000/

『【ワシントン=中村亮】バイデン米政権がイラン保有資産の凍結を一部解除したことが11日、分かった。両国の囚人交換へ前進し、関係悪化に歯止めがかかる可能性がある。米野党・共和党は激しく反発した。

米国務省の報道担当者は11日、日本経済新聞の取材でブリンケン国務長官が先週にイラン資産の凍結解除に署名したと明らかにした。

イランが韓国に持つ資産60億ドル(約8700億円)が対象となり、カタールで資金を管理する。資金の使い道は人道支援目的に限定し、米国が厳しく監視する。

60億ドルは韓国政府が原油購入のためにイランへ支払う予定だったもので、米国の制裁により凍結されていた。イランは違法に差し押さえられた資金だとして支払いを繰り返し求めてきた。

国務省の報道担当者は資産凍結の解除をめぐり「米国民5人の解放を確保するために極めて重要な措置だ」と強調した。イランが米国民5人を解放する代わりに米国が5人のイラン人を釈放することで合意していると説明した。

「イラン政権による人権侵害や海外で(情勢を)不安定にする行動、テロ支援、ウクライナ戦争におけるロシア支援に引き続き対抗していく」とも断言した。

バイデン政権はイランとの関係悪化を食い止め、核問題の協議再開につなげる思惑がある。

米国と英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国は2015年にイランと核開発制限を定めた国際合意をまとめた。米国のトランプ前政権が18年に一方的に合意から離脱して経済制裁を再開した。イランは反発し、核合意の義務履行を相次いで停止した。

イラン強硬派がそろう米共和党はバイデン政権を糾弾した。

共和党のジョン・スーン上院議員は11日、X(旧ツイッター)で資産凍結の解除に関し「核兵器開発やテロリスト支援に向けたイラン指導部の立場を強める」と批判した。「(将来的に)米国の人質解放の代償を上げるだけだ」と書き込んだ。

ジョニ・アーンスト上院議員もXで「イランの違法行為を容認し、さらなる人質外交を助長するだけだ」と非難した。イランが今後も米国民を違法に拘束し、米国に取引を迫るとの主張だ。

米国はイランとの関係悪化に歯止めをかけても、イランによるロシアへの軍事支援を止められる保証はない。バイデン政権はイランがロシアに大量の無人機を提供し、ウクライナ侵攻を後押ししていると分析する。

資金凍結の解除に関し、イランと敵対するイスラエルが反発する公算が大きい。バイデン大統領は秋に米国でイスラエルのネタニヤフ首相と会談する計画で、イラン問題を話し合う見通しだ。』