中国の李強首相、国際会議デビュー 個別会談は少なく

中国の李強首相、国際会議デビュー 個別会談は少なく
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『【ニューデリー=田島如生】中国の李強(リー・チャン)首相は10日、一連の首脳会議への出席を終えた。3月の首相就任後、海外での国際会議のデビュー戦となった。習近平(シー・ジンピン)国家主席の代理を務めたインドで正式に会談したのは4人にとどまった。

李氏は5日にインドネシアの首都ジャカルタに入り、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席した。8日夜からインドの首都ニューデリーに移動し、習氏…

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『8日夜からインドの首都ニューデリーに移動し、習氏の代理として20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出た。

習氏が2022年11月、インドネシア・バリ島で開いたG20サミットに参加した際はバイデン米大統領やフランスのマクロン大統領ら10カ国超の首脳と会った。公式会談ではないものの、カナダのトルドー首相を呼び止めて苦言を呈する場面もあった。

今回、李氏はバイデン氏と接触した。11日朝時点で中国外務省が発表した個別会談は英国、イタリアの両首相と欧州連合(EU)のミシェル大統領、フォンデアライエン欧州委員長だけだ。

中国は7月に施行した対外関係法で外交の決定権が共産党にあると明確にした。党のトップは習氏だ。多忙を極める各国首脳にとって、序列2位で主に経済政策を担う李氏と会う優先度は高くない。

中国が外国首脳との会談や会議にのぞむ場合、外相を同席させるのが通例だ。李氏の一連の外遊に王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相の姿はなかった。

中国が外交権を握っていない李氏をインドへ派遣したのはG20サミットの外交成果が見込みづらかったからだ。国境紛争を抱えるインドとは関係が悪く、同国が議長国を務める会議では中国が主導権を発揮しづらい事情があった。

国内経済の低迷をはじめとする内政の課題が多いのも一因だ。習氏は7日、洪水に見舞われた黒竜江省の村を訪れ、被災者をねぎらった。同省で演説し、中国東北部の活性化に意欲を示した。

李氏は9日のG20サミットで「今年に入ってから中国経済は全体として回復・改善している」と述べ、先行きへの不安論の払拭に努めた。サミットの議論をリードする場面は多くなかった。

中国は8月下旬、南シナ海の大半や中印の係争地域を中国領と記した新しい地図を公表し、インドやASEAN各国が反発した。李氏のアジア歴訪がこうした国との関係改善につながったとは言いがたい。デビュー戦はさながら「消化試合」の様相を呈した。』