米共和党、豪州への原潜売却に条件 建造能力倍増を要求
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN06CKZ0W3A900C2000000/
『【ワシントン=中村亮】米野党・共和党がオーストラリアへの原子力潜水艦売却に関してバイデン政権に条件を突きつけている。米国内で潜水艦の建造能力を倍増しないと、米軍の原潜配備計画が遅れると懸念する。国防予算をめぐり政権に圧力を強める。
米上院外交委員会は6日、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」をテーマに公聴会を開いた。2024会計年度(23年10月〜24年9月)の国防権限法案などで豪州…
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『2024会計年度(23年10月〜24年9月)の国防権限法案などで豪州の原潜取得に向けた技術移転の仕組みや関連予算を固める地ならしとなる。
豪州は30年初めから米国製の攻撃型原潜を最大5隻調達する。潜水艦は秘匿性が高く、海中から奇襲攻撃できる。中国への抑止効果が高いとの見方が多い。
公聴会では共和党議員から国防総省高官に対し、米国内の潜水艦建造に向けた関連予算に質問が相次いだ。豪州の調達によって米軍の配備計画に支障が出ると警戒する。
ピート・リケッツ上院議員は「豪州は自国と米国(の原潜の生産基盤)に巨大な投資をする。我々も同じことをする。問題はその金額だ」と指摘した。国防総省に必要な投資額の推計を示すよう繰り返し迫った。
ウィリアム・ハガティ上院議員も「バイデン政権は合理的な時間軸で米海軍が必要とする(攻撃型原潜保有数)66隻に到達するための長期計画を示していない」と批判した。豪州に原潜を供給すれば米海軍の目標達成が3〜4年遅れると危機感を示した。
米軍が保有する攻撃型原潜は現時点で約50隻だ。米国は年2隻ペースで攻撃型原潜を生産すると計画してきたが最近は平均で年1.2隻にとどまっている。
米議会調査局によると、米軍の保有数は30会計年度までに46隻に減って、その後に増加する見込みだ。ただ国内の建造能力が高まらないと、30年代に保有数を計画どおりに増やせないリスクが出てくる。
共和党議員25人は7月下旬、バイデン大統領に宛てた書簡で生産能力を少なくとも年2.5隻に引き上げる必要があると提唱した。関連予算の積み増しを訴えた。
バイデン政権は3月、潜水艦の生産や補修能力拡大に5年間で46億ドル(6700億円)を投じる方針を表明した。豪州も米国内に投資するが、上院共和党には不十分だとの見方が広がっている。
米国は中国による台湾侵攻に警戒を強め、中国が27年までに侵攻能力の取得を目指していると分析する。米議会では30年ごろまでに攻撃型原潜の保有数が減ることにもともと懸念が根強かった。
国防総省のマラ・カーリン次官補(戦略・計画・能力担当)は公聴会で「原潜の生産基盤への投資継続は優先事項だ」と言明した。生産を着実に進めるとしたが、予算の積み増しが必要かどうかについては、言及を繰り返し避けた。
代わりに原潜の補修や点検にかかる時間を短くして稼働率を上げる方針を強調した。足元で67%の稼働率を27年までに80%に引き上げると話した。稼働率が上がれば抑止力を向上できるとの見方だ。
6月に成立した財政責任法は国防費に上限を定めており、バイデン政権は増額に応じにくい面がある。与党・民主党の支持基盤であるリベラル派は軍事費の増額に慎重だ。
バイデン政権は8月に公表した議会への追加予算要請でも潜水艦の生産基盤に関する事項を盛らず、優先度が高くないとみているようだ。
米国はロシアによるウクライナ侵攻後、弾薬を中心に武器生産の拡大を急ピッチで進めてきた。冷戦終結後に武器の生産基盤が脆弱になっていた現状を露呈した。
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