中国対外融資に焦げ付き 一帯一路10年、投資規模は縮小
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM050DJ0V00C23A9000000/
※ 『中国は22年8月にアフリカ諸国への無利子借款の一部を免除した。佐野氏によると、この発表をうけ、自国民の医療費や住宅ローンの返済免除を先に求める声がインターネット上にあふれた。』…。
※ 海外援助すると、「外国なんか、助けている場合じゃないだろう…。国内対策、もっとしっかりやれ!」という声が上がるのは、日本でも同じ話しだ…。

※ スリランカのハンバントタは、「債務の罠」の代名詞となったな…。



『【北京=川手伊織】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が広域経済圏構想「一帯一路」を提唱してから10年たった。新興国への積極投資は、中国の国際的影響力を高めた。一方、新型コロナウイルス禍などで融資の焦げ付きは増加。中国経済の減速も重なり投資規模は足元で縮小している。習氏が投資収益の向上を指示するなど方針転換を進めている。
習氏は2013年9月7日にカザフスタンで、中国と欧州をつなぐ「シルクロー…
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『習氏は2013年9月7日にカザフスタンで、中国と欧州をつなぐ「シルクロード経済ベルト(一帯)」を提唱した。同年10月に南シナ海やインド洋をつなぐ「21世紀海上シルクロード(一路)」を打ち出し、一帯一路の構想がまとまった。
これまでに150カ国超が中国と投資協力などの覚書を交わした。今年10月には、3回目となる首脳会議を北京で開く。
中国税関総署によると、一帯一路沿線国との貿易総額は13年から22年に76%増えた。中国全体の貿易総額の伸び(51%)を上回った。
中国は新興国との経済的結びつきを強め、国際的な影響力が高まった。日本総合研究所の佐野淳也主任研究員は「一帯一路が国連における中国の孤立を防ぐ役割を果たした」と指摘する。
西側諸国は19〜21年、国連人権理事会で新疆ウイグル自治区や香港の人権状況を批判する共同声明を4度出した。佐野氏によると、いずれも中国擁護を表明する国の数が西側諸国に同調する国の数より多かった。
貿易の拡大に伴い中国の黒字も膨らんだ。23年は7月までの累計で1979億ドル(約29兆円)に達し、通年で最大を更新するのは必至だ。中国の貿易黒字全体の4割を占め、中国からみれば貿易で対米依存を下げる効果もあった。
対照的に沿線国の貿易赤字は増え、中国市場へのアクセス拡大といった期待が薄れている。19年に主要7カ国(G7)で唯一、一帯一路の覚書を結んだイタリアは22年までの3年間で対中貿易赤字が倍増した。
ロイター通信によると、イタリアのタヤーニ副首相兼外相は2日「期待した成果をもたらさなかった」と言及。同国は年末に向けて離脱を探る。
中国の融資条件が厳しく沿線国ともめる例も出た。スリランカは債務返済に行き詰まり、99年に及ぶ港湾の運営権を中国に譲渡した。中国は否定するが、途上国を借金漬けにする「債務のワナ」への警戒感もくすぶる。
中国の投資姿勢に転換を迫るきっかけとなったのが新型コロナの流行だ。新興国経済が打撃をうけ、中国が融資条件の再交渉などに応じる事実上の不良債権が急増した。米調査会社ロジウム・グループの調べでは、20〜22年に発生した融資の焦げ付きは768億ドルと、17〜19年の4.5倍となった。
外貨の融通など沿線国への資金援助が増える一方、新たな投資は減っている。米アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)によると、19年までは年1000億ドルに上ったが、20年以降は年600億〜700億ドル台で推移する。
投資規模がしぼんだ背景には、中国経済の成長鈍化もある。新規投資の原資となる外貨準備高は3兆ドル超で横ばい、新興国向けに大盤振る舞いする余力は増えにくい。
国内の内向き志向も影を落とす。中国は22年8月にアフリカ諸国への無利子借款の一部を免除した。佐野氏によると、この発表をうけ、自国民の医療費や住宅ローンの返済免除を先に求める声がインターネット上にあふれた。景気停滞などへの不満が高まれば、政府も対外支援などに資金を振り向けにくい。
中国は持続的な対外経済協力の方向を探る。習氏は21年秋に一帯一路の投資をめぐり、収益性の重視や国際的な開発金融機関との協調を打ち出した。23年10月の首脳会議でのメッセージにも関心が集まる。
中国は莫大な資金力で国際社会における発言力を高めてきた。佐野氏は「対外融資や援助がピーク時の水準まで戻らない場合、中国の国際的影響力の低下は避けられない」と分析する。
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