ウクライナ、欧州製戦車を本格投入 南部の進軍加速狙う

ウクライナ、欧州製戦車を本格投入 南部の進軍加速狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR0642E0W3A900C2000000/

『【リビウ(ウクライナ西部)=田中孝幸】ロシアからの領土奪回に向けた反転攻勢を続けるウクライナ軍が、これまで温存してきた欧州製の最新鋭戦車を本格投入している。ザポロジエ州など南部の前線でロシアの最初の防衛線の一部を突破したことを受け、冬を迎える前に南部での進軍を一気に加速する狙いがある。

欧州製の戦車は、ロシア軍の第1防衛線に近い同州ロボティネ周辺から南方に進軍しているとみられる。英国やウクライナ…

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『英国やウクライナの主要メディアは5日、ロボティネ近郊で英国が供与した主力戦車チャレンジャー2がロシア軍の攻撃で破壊されたと報じた。

乗っていた4人の兵員は無事だったという。英国は1月、旧ソ連製戦車を防御力や長距離火力で上回る14両のチャレンジャー2の供与を発表した。戦闘への投入が確認されたのは今回が初めてだった。

ウクライナ軍は今回の反攻でも、初期に西側製戦車を柱とする部隊を投入した。ただ高密度で敷設された地雷などで構成する防衛線に阻まれて数両の犠牲を出し、戦術を転換。戦車を前線の後方に温存し、歩兵による地雷除去や塹壕(ざんごう)の制圧などを通じて徐々に進軍してきた。

再び切り札としてきた欧州製の戦車を投入している背景には、ザポロジエ州でロシア軍が築いた3重の防衛線の一部を破壊し、幅10?15キロメートルにわたる突破口を開いたことがある。

米戦争研究所は5日の戦況分析で「ウクライナ軍は同州西部で進撃を続けている」と指摘。同国軍が8月末に奪還を発表したロボティネから要衝トクマクに向けて進軍しているとの認識を示した。西側の軍事関係者の間ではドイツ製の主力戦車「レオパルト2」など強力な戦闘車両の投入が加速するとの見方が広がる。

10月になるとロシアが占領する多くの地域で地面が雨でぬかるみ、戦闘車両の移動が難しくなる事情もある。オーストリア軍のマルクス・ライスナー警備大隊司令官は「乾燥した地面が必要な戦車部隊の突破力はあと数週間で活用できなくなる」と指摘する。

ウクライナ軍はロシア本土とクリミア半島の間にあるザポロジエ州などの南部領土を奪回し、同半島のロシア軍を孤立させて撤退に追い込む戦略を描いてきた。

ただ、冬を前に大きな戦果をあげないとこの戦略は頓挫しかねない。西側のウクライナへの支援機運にも悪影響が出る可能性もあり、兵力の投入を急いでいるとみられる。

ロシア軍も南部の防御態勢の強化を急いでいる。インタファクス通信によるとロシアのショイグ国防相は5日、国防省での会議で「現在、最も緊迫しているのはザポロジエ州の前線だ」と指摘。新たに精鋭部隊を同州に展開させていると明らかにした。

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説 欧州から供与された強力な戦車をウクライナ軍が投入していることは、南部戦線で戦果を拡大してクリミア半島のロシア軍を孤立させる作戦を成功させる上で勝負どころだと判断したことを示唆する。

3重に張り巡らされた防衛線の一部に穴をあけることができたので、そこに戦力を集中するわけである。

ロシア軍は当然、防衛線にあいた穴があまり拡大しないよう、その周辺の戦力を強化する。精鋭の 空挺(くうてい) 部隊をロシア軍は南部の最前線に投入し始めたもよう。

投入されたとみられるロシアの第76親衛空挺師団はT-90戦車やT-72戦車なども装備する強力な師団だとする専門家のコメントを、Forbes JAPANが伝えている。。

2023年9月7日 7:59 (2023年9月7日 8:00更新) 』