米陸軍が目指すアジャイル調達
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『2021年10月の「米陸軍デジタル変革戦略」では米陸軍が2019年10月に、米陸軍近代化戦略(AMS)を公表して、近代化の枠組みを示していたことを紹介した。米陸軍省内の各事業計画執行官(PEOs)のデジタル変革に対する状況を窺い知れる記事を紹介する。(軍治)
米陸軍が目指すアジャイル調達
各事業計画執行官(PEOs)はデジタル変革を受け入れる
Army Aims for Agile Acquisition
PEOs embrace digital transformation.
BY GEORGE I. SEFFERS
AUG 15, 2023/AFCEA
AFCEA とは、米国の軍通信電子機器協会(Armed Forces Communications and Electronic Association)のことを指す
TechNet Augusta 2023で米陸軍の調達について議論するパネリストたち。
さまざまな事業計画執行官(program executive officers :PEOs)※1を含む米陸軍は、陸軍種のデジタル変革戦略を取得・調達プロセスに適用するためにさまざまな措置を講じている。8月15~17日にジョージア州オーガスタで開催されたAFCEA TechNet Augustaカンファレンスの初日にパネルディスカッションの委員を務めた複数の事業計画執行官(PEOs)が、アジャイル取得・調達により最終的には、より優れた機能をより迅速に兵士に提供できるようになるだろうと指摘した。
※1参考:米陸軍省の事業計画執行官〔Program Executive Officers〕
武器・弾薬統合事業計画執行官 Joint Program Executive Officer, Armaments and Ammunition BG. John T. Reim Jr. 02/28/2022
航空事業計画執行官 Program Executive Officer for Aviation Rodney Davis (Acting)
指揮・統制・通信‐戦術‐事業計画執行官 Program Executive Officer for Command, Control, Communications-Tactical Mr. Mark C. Kitz 06/29/2023
戦闘支援・戦闘役務事業計画執行官 Program Executive Officer for Combat Support and Combat Service Support BG. Samuel L. Peterson 06/28/2022
米陸軍全体通信システム事業計画執行官 Program Executive Officer for Enterprise Information Systems Ross Guckert 04/2021
陸上戦闘システム事業計画執行官 Program Executive Officer for Ground Combat Systems MG. Glenn A. Dean 12/2020
インテリジェンス・電子戦・センサー事業計画執行官 Program Executive Officer for Intelligence, Electronic Warfare and Sensors BG. Wayne E. Barker 04/24/2023
ミサイル・宇宙事業計画執行官 Program Executive Officer for Missiles and Space BG. Francisco J. Lozano 06/28/2022
兵士事業計画執行官 Program Executive Officer for Soldier BG. Christopher D. Schneider 06/28/2022
シミュレーション・訓練装置事業計画執行官 Program Executive Officer for Simulation, Training & Instrumentation Karen Saunders 04/2021
CBRN防衛統合事業計画執行官 Joint Program Executive Officer for Chemical, Biological, Radiological, and Nuclear Defense Darryl Colvin (Acting) 03/2022
ジェニファー・スワンソン(Jennifer Swanson)米陸軍副次官補(データ、エンジニアリング、ソフトウェア)は、パネルの冒頭で、現代の米陸軍システムは大部分がソフトウェアで実現されており、継続的インテグレーション/継続的デリバリー(continuous integration/continuous delivery :CI/CD)の実践が必須であると指摘した。
「ソフトウェアがすべてのシステムを動かしている。現場(in the field)でも米陸軍全体(in the enterprise)でも、ソフトウェアによって動かされていないシステムなど考えられない」と彼女は言う。「継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)にアクセスできるようにすることは、システムを常にアップデートし、オーバーマッチを可能にするために非常に重要である」。
彼女は、継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)は米陸軍全体の取り組みであり、米陸軍は要求プロセスの総点検を行っていると付け加えた。「要求の観点から、我々は、本当に600ページの一枚岩のような、より大きな要求文書ではなく、高レベルの要求文書を取得しようとしている」と彼女は言った、米陸軍将来コマンド(Army Futures Command :AFC)と米陸軍総軍コマンド(Army Forces Command :FORSCOM)は、その後、要件を洗練させると付け加えた。
さらに、ソフトウェアは常に更新されるため、ほとんどのシステムがいったん実戦配備を完了し、単に即応性を維持するためにメンテナンスされるように、維持のために米陸軍資材コマンド(Army Material Command :AMC)に移行することもなくなる。「我々が能力を追加し続けるつもりなら、ライフサイクル・マネージャーを[プログラム・マネージャー]の下に置く必要がある。それは大きなことだ」と彼女は言う。
さらに、すべての提案依頼書(requests for proposals :RFP)は、ソリューション自体の評価だけでなく、企業の敏捷性(company’s agility)の評価を要求するようになった。「これは非常に重要である。光り輝くもの(shiny objects)を手に入れることはできるが、その光り輝くもの(shiny objects)を維持し、要件が進化するにつれて新しい要件にアップデートし続けることができなければ、本当の意味でアジャイル開発(agile development)をしているとは言えない」と彼女は宣言した。
スワンソン(Swanson)氏は、米陸軍が5月に構築を開始したデータ・メッシュ(data mesh)の利点を強調した。米陸軍がデータ・メッシュ(data mesh)を必要とする理由は複数あるが、彼女は次の2つを強調した。
「我々は米陸軍なので、データを複製してあちこちにプッシュするような巨大なデータ・レイク(massive data lakes)を持つためのネットワークを持っていない。我々はネットワークをつぶす」と彼女は言った。
「データ・メッシュ(data mesh)は、必要な場所にノードを設置できる分散型アーキテクチャ(distributed architecture)だ」。
さらに、データ・メッシュ(data mesh)は業界の競争を促進する。「その2、ベンダー・ロックの排除。我々は競争を望んでいる。コンプライアンスに準拠し、業界が提供できるあらゆるソリューションに選択肢を広げたい」と彼女は言う。
「我々は昨年、「統一されたデータ参照アーキテクチャ(Unified Data Reference Architecture :UDRA)として知られるものの構築を開始し、今年度末までに完成させると皆さんにお伝えした。「結局のところ、このアーキテクチャは我々の[提案依頼書(RFP)の]中で要求されることになる。
「統一されたデータ参照アーキテクチャ(UDRA)」に関する3回目の最終的な情報提供依頼書(request for information :RFI)は8月30日に発表される予定で、これまでの情報提供依頼書(RFI)の更新も含まれる。また、米陸軍は10月の第1週に業界日を開催する予定であり、正確な日程は未定である。
産業界は、ハイブリッド・クラウド・コンピューティング能力が「統一されたデータ参照アーキテクチャ(UDRA)」の中心的な要素になることを期待すべきだと、サンダース(Saunders)氏は指摘する。サービスは常に接続されているわけではないので、米陸軍は、切断された戦術的環境で一部の機能を提供するために、米陸軍敷地内(on the premises)のハイブリッド・クラウドを必要とするだろう。
「統一されたデータ参照アーキテクチャ(UDRA)」は「米陸軍にとって真のデータ中心主義」を実現するものであり、米陸軍が検証と実装に成功すれば、2024年には情報提供依頼書(RFI)にこの要件が含まれることになる、と彼女は付け加えた。
米陸軍全体通信システム(enterprise information systems)の事業計画執行官(PEO)であるロス・グッカート(Ross Guckert)氏は、「アジャイルへの変革(transformation to agile)」が真に効果を発揮している兆候を、彼の組織全体が目にしていると述べた。「我々は毎月、私の計画でオフサイトを開催している。契約、本社内のアジャイル・センター・オブ・エクセレンスの設立、コスト見積り、アップスケール、技術サービスの使い方と定義の再定義など、あらゆることを検討している」。
技術サービス部門はまた、データ・サイエンスとデータ・アナリティクスをさらに活用して傾向を把握し、レビュー時にリアルタイムのデータ・ソースを備えた新しいツールを使用する。米陸軍全体情報システム(enterprise information systems)の事業計画執行官(PEO)は、「オープンな最新アーキテクチャ、安定したコード、安定した高品質のデータを確保するための強固な技術的レビュー」を開始し、「新たな脅威に対応するためのサイバー・ツール」を提供し、デジタル契約センター・オブ・エクセレンスの活用を計画している。
光り輝くもの(shiny objects)を手に入れることはできるが、その光り輝くもの(shiny objects)をメンテナンスし、要件が進化するにつれて新しい要件にアップデートし続けることができなければ、本当の意味でアジャイル開発をしているとは言えない。
ジェニファー・スワンソン( Jennifer Swanson)
米陸軍副次官補(データ、エンジニアリング、ソフトウェア担当)
「アバディーン性能試験場に設立されるデジタル契約センター・オブ・エクセレンスに興奮している。アジャイル契約パッケージがどのようなものか、契約タイプ、成果物、支払い構造、価値に対する支払いの確認、能力の提供、モジュラー契約の活用方法などを定義する」とグッカート(Guckert)氏は語った。
同氏は、デジタル契約センター・オブ・エクセレンスは「アバディーン性能試験場だけでなく、契約コマンド企業全体で使用される」「プレイブック」を開発していると付け加えた。
グッカート(Guckert)氏のチームは、取得までのリード・タイムも評価している。「我々は、これらの契約のいくつかで見られる現在のリード・タイムは、耐え難いものであることを知っている」と彼は言った。彼は、すべてのプログラム・マネージャーが「アジャイルを中心に組織化(organizing around agile)」され、副事業計画執行官(副PEO)、事業計画執行官補佐(PEO補佐)、最高情報責任者(chief information officer : CIO)など、多くの新しいリーダーが加わっていると付け加えた。
先月リリースされた米陸軍契約書作成システム(Army Contract Writing System)※2の最低限実行可能な製品や、イグナイト・プログラムが来月にも完全な運用能力を達成する可能性など、同氏はいくつかの「サクセス・ストーリー」を挙げた。
※2:米陸軍契約書作成システム(ACWS)は、単一の米陸軍全体の契約書作成・管理システムを提供し、ビジネス・プロセスの効率化を図り、1996年連邦財務管理法への準拠をサポートし、既存のエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)ソリューションと統合し、複雑なインターフェイスの数を減らし、監査への対応力を促進する。
また、米陸軍全体業務システム‐コンバージェンス(Enterprise Business System-Convergence :EBS-C)※3のプロトタイプ契約は、パネルのプレゼンテーションと同日に締結された。 「私は12月までに我々は全く異なる組織になるだろうと言い続けてきたが、状況は確かにそのようになりつつある」とグッカート(Guckert)氏は語った。
※3:米陸軍全体業務システム‐コンバージェンス(Enterprise Business System-Convergence :EBS-C)は、監査可能性を向上させながら、業務の簡素化、合理化、標準化、統一を図る米陸軍のビジネス近代化と変革の取り組みである。米陸軍の現行のエンタープライズ・リソース・プランニング・システム(ERP)のサービス終了が目前に迫り、ますます複雑化する作戦要件をサポートする必要性が高まっていることから、エンタープライズ・ビジネス・システムを共通の近代化されたプラットフォームに収束させる機会が提供され、大規模な戦闘作戦におけるマルチドメイン作戦をより効果的に可能にする。
米国インテリジェンス・電子戦・センサー事業計画執行官(PEO)のウェイン・”エド”・バーカー(Wayne “Ed” Barker)准将は、彼のプログラムのいくつかは、人工知能(AI)と機械学習(ML)の要件を「直接的または暗示的に」持っていると報告した。
人工知能/機械学習(AI/ML)を使用してプロセスを自動化し、脅威の特定と対処に必要な時間を短縮する新しい地上システムであるTITAN※4プログラムの成功に触発され、プログラム事務局は要(Linchpin)として知られるプロジェクトを開始した。 人工知能(AI)と機械学習(ML)は、インテリジェンス、サイバー、状況認識(situational awareness)、状況理解(situational understanding)、電子戦センサー・システムを同期および一体化する。
※4:TITAN(戦術的インテリジェンス・ターゲッティング・アクセス・ノード:Tactical Intelligence Targeting Access Node)は、人工知能と機械学習によって、宇宙、高高度、空中、地上のレイヤーから受信したセンサーデータを処理する陸軍の次世代インテリジェンス、監視、偵察地上局である。TITANは、最終的にセンサーからシューターまでのタイムラインを短縮し、マルチドメイン作戦(MDO)を可能にする、ターゲティングと状況認識・状況理解へのインテリジェンス・サポートを提供する。
「我々にはTITANとの機会があり、これをマルチドメイン作戦(MDO)の観点から、ターゲティングから状況認識、状況理解まであらゆるものをサポートできる人工知能/機械学習(AI/ML)パイプラインを構築する機会とみなした。」 バーカー(Barker)准将は語った。 「理想的には、成功すれば、このモデルは他の事業計画執行官(PEOs)でも使用できるようになる。
米陸軍は2026会計年度にそれを行う予定であったが、この取り組みは「信じられないほど速く進んでおり」、今年末までに本格的なプログラムになる可能性があると報告した。
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