ASEAN・G20首脳会議、新興国の発信力試す試金石に

ASEAN・G20首脳会議、新興国の発信力試す試金石に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM318JM0R30C23A8000000/

『東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議や20カ国・地域(G20)首脳会議が9月、インドネシアとインドで相次いで開催される。国際社会で「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国の影響力が増す中、それぞれの会議の注目ポイントや議長国の役割を解説する。

①2つの会議はなぜ重要か?
②会議の焦点は?
③議長国の役割は?

①2つの会議はなぜ重要か?

ASEAN関連首脳会議とG20首脳会議は両方とも先進国…

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『22年にロシアのウクライナ侵攻が発生し、米国・日本など西側諸国とロシアや中国などの対立が深まる中、国際会議の場では参加国全体の合意による「共同声明」や「首脳宣言」などが出せず、議長国が代表して議論をまとめる「議長声明」や「議長総括」の発出にとどまるケースが増えている。

そんな中、22年にG20の議長国だったインドネシアは、インドとともに米国やロシアなどを説得し、難しいとみられていた首脳宣言を出すことに成功した。世界的な物価高による食料問題など新興国が直面する問題を東西両陣営にぶつけ、国際協調による課題解決に向けて新興国の影響力の大きさを見せつけた。』

『ASEAN関連ではクーデターでアウンサンスーチー氏が率いる民主的な政権が倒されたミャンマーを巡る問題の解決の糸口を探る役割が議長国に求められている。

ASEANは国軍による軍政を否定し、首脳会議などへの参加を拒否している。ASEANは全会一致による「コンセンサス方式」による意思決定を取り入れている。ミャンマー問題を放置すれば、ASEANの求心力にも陰りが出る。加盟国内にもミャンマーを巡る立場に大きな隔たりがあり、議長国は難しい対応を迫られる。

G20では首脳宣言のとりまとめができるかが焦点だ。まとまらなければ、08年に首脳会議が始まって以来初めての事態となる。世界の分断が明確になり、G20の機能不全との懸念に拍車をかけかねない。今年開かれたこれまでの閣僚級会合では各国の合意による声明は出せていない。

インドは日米豪と「Quad(クアッド)」と呼ばれる枠組みで連携を深める一方で、BRICSなどで中国やロシアとの関係も深めている。ウクライナ侵攻を巡っても、直接的なロシア批判は控えてきた。対立する各国の妥協点を見いだせるか、独自の外交姿勢の真価が試される。』