ウクライナ国防相更迭へ 汚職疑惑で引責か

ウクライナ国防相更迭へ 汚職疑惑で引責か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0406U0U3A900C2000000/

『【キーウ=共同】ウクライナのゼレンスキー大統領は3日のビデオ声明で、レズニコフ国防相の更迭を近く議会に諮ることを決めたと明らかにした。今年初めに国防省の汚職疑惑が報じられ、監督責任を追及する声が上がっていた。ゼレンスキー氏は「国防省に新たなアプローチが必要だ」と述べ、組織改革の必要性を強調した。

後任には国有財産基金のトップ、ウメロフ氏を起用すると述べた。
ルステム・ウメロフ氏(2022年2月、ベラルーシ南東部ゴメリ州)=ベルタ通信提供・EPA時事

1月にウクライナ軍の食料調達を巡って汚職疑惑が浮上。国防次官が解任されたほか、レズニコフ氏の監督責任を問う声も上がったが、ゼレンスキー氏が留任を求めたとされる。国防省ではその後、別の汚職疑惑も伝えられていた。

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広瀬陽子
慶応義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

レズニコフ氏は、2021年11月に国防相に就任し、ウクライナ戦争もリードしてきたが、1月に明らかになった汚職疑惑は、戦争と同時に、国内の汚職問題と対峙してきたウクライナ政権にとっては、非常に深刻な問題となってきた。
2月にも、汚職問題による引責辞任の報道が出て、その際には国防省の情報部門トップのキリロ・ブダノフ氏の続投の話も出ていたが、ゼレンスキー大統領が留任したとされる。
しかし、汚職疑惑が相次いで表面化したことにより、国防省のムードを変える必要に迫られて、レズニコフ氏を更迭する決断を迫られていたと思われる。
レズニコフ氏には英大使のポストが用意されているとも報じられている。
2023年9月4日 8:26 (2023年9月4日 8:46更新)

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村上芽
日本総合研究所創発戦略センター エクスパート
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ひとこと解説

NGOのトランスペアレンシーインターナショナルが1995年から毎年発表する、国別の腐敗認識指数のバックナンバーをみると、大まかにいえば、ウクライナはロシアの少し上、両国とも全体の下位グループで推移してきました。侵攻前の2020年ではウクライナ117位、ロシア129位でした。つまり、透明性の土壌はどちらも弱いわけです。ウクライナが支援国の支援疲れを招かないためには、支援による効果が見えることが求められ、汚職対策はアピールというより必要不可欠でしょう。
2023年9月4日 8:29』