フィリピン軍

フィリピン軍
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 ※ 海軍中心に、紹介する。

『海軍

「ホセ・リサール級フリゲート」
フリゲート「グレゴリオ・デル・ピラール」
兵站支援艦「バコロド・シティー」
舟艇部隊。
MBB Bo 105。
フィリピン海兵隊。

フィリピン海軍は、22,000名の人員、艦艇120隻(フリゲート2隻を含む)および14機の航空機を有している。

編制

フィリピン海軍の部隊は、部隊管理上、フィリピン艦隊司令部(Philippine fleet)とフィリピン海兵隊司令部[12](Philippine Marine Corps)のいずれかのタイプ・コマンドに属している。また作戦指揮上は、下記のように7個部隊が海軍作戦コマンドに、5個部隊が海軍支援コマンド、他に7個の海軍支援部隊が編成されている。特殊部隊としては、海軍が海軍特殊作戦グループ、海兵隊が威力偵察大隊を有する。

海軍作戦コマンド
    北ルソン方面海軍管区(NAVFORNOL):北ルソン方面コマンド(NOLCOM)の作戦指揮を受ける。
    南ルソン方面海軍管区(NAVFORSOL):南ルソン方面コマンド(SOLCOM)の作戦指揮を受ける。
    西部方面海軍管区(NAVFORWEST):西部方面コマンド(WESCOM)の作戦指揮を受ける。
    中央方面海軍管区(NAVFORCEN):中央方面コマンド(CENTCOM)の作戦指揮を受ける。
    東ミンダナオ方面海軍管区(NAVFOREASTMIN):東ミンダナオ方面コマンド(EASTMINCOM)の作戦指揮を受ける。
    西ミンダナオ方面海軍管区(NAVFORWESMIN):西ミンダナオ方面コマンド(WESTMINCOM)の作戦指揮を受ける。
    艦隊海兵待機部隊
海軍支援コマンド
    海軍海洋システム隊(NSSC):造船所の管理や技術開発、艦艇の造修整備を担当する。
    海軍教育・訓練隊(NETC)
    海軍予備役隊(NAVRESCOM)
    海軍施設旅団(NCBde)
    カヴィテ海軍基地
海軍支援部隊
    海軍情報保安部隊
    フィリピン海軍財務センター
    海軍兵站センター
    マニラ海軍病院
    カヴィテ海軍病院
    ボニファシオ海軍基地
    海軍司令部および司令部付隊

装備
「フィリピン海軍艦艇一覧」も参照

フィリピン海軍は、現在、保有機材の老朽化に直面しており、また潜水艦を所有していないなど、攻防面に於いて致命的な弱点がある。

水上戦闘艦

旧アメリカ海軍艦として「ラジャ・フマボン」(フィリピン海軍に編入される以前、海上自衛隊であさひ型護衛艦として就役していた)、リサール級 2隻、ミゲル・マルバー級 6隻、および旧イギリス海軍艦としてジャシント級コルベットが主力となっていた。

しかし旧アメリカ海軍艦はいずれも大戦中の建造であるため老朽化・旧式化が顕著であり、旧イギリス海軍艦は哨戒艦として建造されたために軽武装に留まっていた。

このことから、2011年より、アメリカ沿岸警備隊の長距離用カッター(WHEC)であるハミルトン級カッターの中古艦の取得を開始した。同年3月には初号艦である「ハミルトン」をフリゲート「グレゴリオ・デル・ピラール」として再就役させており、最終的には、計8隻の整備を計画している[14]。

売却にあたって、対空捜索レーダーやCIWSは撤去されているが、近い将来フリゲートとして重武装化する可能性が認められる。[15][16]。

2012年9月、フィリピンの国会は、近い将来に海軍がイタリアからマエストラーレ級フリゲート2隻を導入するための予算案を承認するとともに、「グレゴリオ・デル・ピラール」の兵装を強化することを決議した[16]。

ただし、導入時期は未定である。2013年5月、アキノ大統領は、南沙諸島問題のため、日本円でおよそ280億円を投資して、対潜哨戒ヘリコプター各1機を搭載する護衛艦2隻を新造することを決心した。

当該護衛艦の新造にあたっては、国際入札で他国の企業に建造を依頼することとしているが、現在のところ未定である。

2013年7月3日、フェルナンド・マナロ国防次官は、近代化予算750億ペソをマエストラーレ級フリゲート2隻の新造購入に充てられることを認め[17]、7月8日の国際入札の実施に先立ち、フィリピン政府はイタリア政府に対して「マエストラーレ級を新造するならば、護衛艦として2隻を新造で購入する」旨の声明を発した。

2014年6月5日、フィリピン海軍に浦項級コルベット1隻の導入が決定した。本艦は2014年末に韓国海軍を退役後、フィリピン海軍に移籍する。これにより、フィリピン軍は初めて対潜戦および艦対艦ミサイルの運用に挑戦することとなる。

2016年10月27日、韓国中央日報は同国の造船大手である現代重工業が、同月24日にフィリピン国防省から「2600トン級護衛艦」2隻の建造を受注したことを報じた[18]。仁川級フリゲートを小型化した「HDF-3000」と呼ばれるタイプで、1番艦「ホセ・リサール」は2020年5月23日にフィリピンに到着した[19]。

高速戦闘艇・哨戒艇

1993年に韓国から購入したチェビ型哨戒艇をコンラッド・ヤップ級として再就役させたが、段階的に退役しつつある。代わって、アメリカ海軍のサイクロン級哨戒艇のネームシップを「マリアーノ・アルバレス」として導入したほか、韓国海軍のチャムスリ型哨戒艇の準同型艇をトマス・バティロ級として8隻配備。2021年にはイスラエルにシャルダグMk.V高速戦闘艇8隻を発注した[20]。

揚陸艦・輸送艦

従来、大戦型のLST-542級戦車揚陸艦(LST-1級最後期型) 7隻を主力としてきたが、1993年から94年にかけて、アメリカ陸軍のフランク・S・ベッソン・ジュニア大将級兵站支援艦をもとにしたバコロド・シティ級兵站支援艦(英語版) 2隻を就役させた。

2010年には、韓国製のターラック級輸送艦(英語版)2隻の取得計画が発表された。これは、韓国がインドネシアに輸出したマカッサル級揚陸艦(英語版)の派生型であり、汎用揚陸艇 2隻を収容できる。1番艦「ターラック」は2016年6月1日に、2番艦「ダバオ・デル・スル」は2017年3月31日に就役した。

また輸送艦として、日本製のRO-RO船の取得が計画されていた。これは、代議院の国家防衛・安全保障小委員会により、もっとも優先度の高い計画の一つとして、2012年から2016年までに2隻を取得する予定とされていた[21][22][23]。その後、国産揚陸艦「タグバヌア(英語版)」を2011年に就役させたほか、他国海軍から中古の揚陸艇を導入しており、オーストラリア海軍のバリクパパン級揚陸艇(英語版)6隻を入手し、2021年には韓国海軍から「ママンワ(英語版)」を導入した。

航空機

フィリピン海軍は、小規模な海軍航空隊を保有している。海軍航空隊は、部隊管理上はフィリピン艦隊の隷下に属し、フォース・プロバイダー(練度管理責任者)として機能する。保有機材は連絡機としてブリテン・ノーマン アイランダー 8機およびT-41 2機、救難機としてMBB Bo 105 2機、練習機としてロビンソン R22であり、フィリピン海軍には艦載機を運用可能な艦艇がないため、いずれも陸上機として運用されている。

また対潜哨戒機として、海軍に哨戒ヘリコプターを計2機導入することが決定しており、これまで事実上の無防備状態であった潜水艦の脅威への備えが大幅に強化される[16]。
2016年5月には、日本から最大5機のTC-90をフィリピン海軍へ有償貸与する事が両国間で合意した。南シナ海での監視能力強化を図りたいフィリピンはP-3C対潜哨戒機を希望していたが、高度な運用能力を要し維持費も高いP-3Cに代わり、より扱い易く維持費が安いTC-90の移転が前年から検討されていた[24]。

専用の哨戒装備を持たないTC-90であっても、フィリピン海軍現有のブリテン・ノーマン アイランダーに比べて大幅な能力向上が見込める。防衛省においては、人道支援・災害救援での能力向上を挙げている[25]。2017年3月27日、首都マニラ近郊カビテ州の海軍基地で、2機の引き渡し式典が開かれた[26]。

なお、これは自衛隊装備の他国供与第一号となる。当初は無償や格安での譲渡が検討されたが、従来の日本の財政法は国有財産の無償供与や実勢価格より安く売却することを禁じており、C90の中古市場価格である3000万円での売却を求めた日本と、無償供与を求めるフィリピン側と折り合わなかったため、貸与という形となった[27]。

しかしその後自衛隊法が改正され中古装備品の無償供与が可能になったことを受け、2017年11月13日、有償貸付から無償譲渡に変更された[28]。追加分3機は2018年3月に譲渡された[29]。』