習氏「途上国の発展を支援」 BRICS拡大首脳会合

習氏「途上国の発展を支援」 BRICS拡大首脳会合
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR24CQ90U3A820C2000000/

『』【ヨハネスブルク=木寺もも子】ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ(BRICS)は24日、南アのヨハネスブルクで約50カ国の首脳らを招いた拡大会合を開いた。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は会合で、「グローバルガバナンスにおける途上国の発言力を高め、発展を支援していく必要がある」と語った。

グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国からは国際社会での地位向上やBRICSとの協働に期待する声が相次いだ。

「BRICSはグローバルサウスに共通する利益を実現するためのプラットフォームになりうる」(モザンビーク)。BRICSが設立した新開発銀行(NDB、本部・上海)について、「アフリカの成長・発展を支援してくれることを期待する」(レソト)などと、BRICSの関与を歓迎する声が目立った。

米欧や中ロなどが主導する既存の国際秩序への批判も多く上がった。「一部の国だけが国連などの多国間組織で独占的な利益を享受する体制はもはや受けいれがたい」(マラウイ)。「BRICS現メンバー国には、拒否権を行使する常任理事国のようにはならないでもらいたい」(ナミビア)などと、冗談めかしてくぎを刺す場面もあった。

新たにBRICSに加入することが決まったイランのライシ大統領は「貿易や経済活動における脱ドルや自国通貨利用の拡大を目指すBRICSを断固支持する」と演説した。イランは米国から金融制裁を受け、国際決済網から締め出されている。

議長国・南アのラマポーザ大統領は「BRICSはグローバルサウスの擁護者になる」と強調した。

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広瀬陽子
慶応義塾大学総合政策学部 教授
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BRICSは今回のサミットで6カ国の新規加盟国を迎え、更なる拡大を目指す。だが、加盟国間の意見の不一致もより目立つだろう。そもそも拡大についても、中国とロシアが熱心である一方、インド、ブラジルは及び腰だとも言われる。
BRICSをまとめ上げる鍵は既存の経済システムへの反発であるが、中露の論調では、それが単なる欧米批判になりがちな傾向もある。グローバルサウスは、G7を中心とした西側先進国と中露を中心としたいわゆる専制主義国家との距離感をバランスよく取ることに活路を見出すため、BRICSが反欧米組織になることは避けたいはずだ。
その辺の舵取りがうまくできなければ、拡大BRICSは困難なものとなる。
2023年8月25日 8:42
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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 常務理事
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ひとこと解説

ブレトンウッズ機関への対抗を打ち出すBRICSの新開発銀行(NDB)と外貨準備基金は、世界銀行よりも迅速に、IMFのような厳しい条件を課さない支援を謳っているのだから、グローバルサウスの国々が期待を寄せるのは当然だろう。
しかし、加盟国が増えても、緩いガバナンスのままで、こうした金融支援の枠組みを、運営できるのかは疑問が残る。
中国の「一帯一路」に期待を寄せた中東欧諸国は、経済面での利益への期待が裏切られたことで、背を向け始めている。
BRICSも、加盟国が期待通りの利益を実感するような実績を上げることができなければ、求心力は低下することになるだろう。
2023年8月25日 9:18