ロシアの愚行でとばっちり、 遠回り強いられる「中欧班列」?
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『2013年9月に中国の習近平国家主席が「一帯一路」政策を初めて提唱してから、10年を迎えようとしている。この間、ロシアをはじめとする旧ソ連諸国は、その全てが一帯一路の沿線国と位置付け、各国は、中国の協力を得ながら、輸送回廊の創設やインフラ整備プロジェクトなどの実現を目指してきた。
73QI6C6VCZNJVD5QOLWXAUBL2M 現実には、旧ソ連の領域で、一帯一路の成果が目覚ましくあがったとは言いがたく、停滞しているものや頓挫してしまったプロジェクトも多い。「ロシア版新幹線」構想:左 などは、失敗例の最たるものだろう。これは、中国の資本と技術を取り入れ、首都モスクワ〜カザン間に高速鉄道を敷設するというもので、2014年に中露間で合意し、将来的には、中国の北京まで延伸するという野心的な案もあったが、その後の情勢変化で、両国は具体的な条件で折り合えず、プロジェクトは事実上放棄された。
FireShot Webpage Screenshot #948 – ‘盘点中欧班列沿线的政治 それに対し、これまで一定の成果をあげたといえるのが、「中欧班列:CHINA-EUROPE Rail Service」である。中欧班列は、中国と欧州を結ぶ鉄道コンテナ定期輸送サービスである。運行開始は習主席が一帯一路政策を発表する2年前の2011年3月である。この輸送サービスの輸送量は急拡大しており、2013年の列車数が80便、輸送量が7000TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個換算)だったのが、2021年には1万5000便、146万TEUまで達している。「新シルクロード」の理念に適った中欧班列は、まさに一帯一路の「シンボル」的なプロジェクトと位置付けられるようになった。
img_6c7d83403af86d5ec693d483142ea46a88394 中欧班列には、複数のルートがある。主力となっているのがロシアとベラルーシを通るもので、2019年には輸送量の9割以上はこの北、中央ルート(日通も2021年から利用)であった。中国の新疆ウイグル自治区の阿拉山口、または同区のホルゴスを越えてカザフスタンに入り、広軌(レールの幅が1520ミリメートル)車両に積み替え、ロシア、ベラルーシを通過し、ベラルーシ・ポーランド国境で再度、標準軌(同・1435ミリメートル)の車両に積み替えられて、欧州各国へと運ばれていく。
中欧班列のトランジット輸送のうち、カザフスタン~ロシア~ベラルーシというルートの輸送を一手に担っているのが、ユーラシア鉄道アライアンス社(ERA)で、ERAは、ロシア鉄道、ベラルーシ鉄道、カザフスタン鉄道が3分の1ずつを対等出資することで設立された。
img_c7124f28562cabd3e8744c8fdb6498fd172886左図に見るように、ERAの輸送量は、2021年までは順調に拡大していた。中国~欧州間貨物のトランジット輸送は、カザフスタン、ロシア、ベラルーシの鉄道会社に貴重なトランジット輸送収入をもたらしてきた。
しかし、中欧班列には課題もあった。まず、中国の対欧州連合(EU)貿易の輸出超過などに起因して、中国から欧州に向かう「西航」の需要に比べて、逆方向の「東航」の需要が低いという問題があった。便数では東航が西航を下回る状態が今も続き、東航ではしばしばコンテナが空の状態で運行された。
2023年上半期(1~6月)に湖北省武漢市を発着した中欧班列(注)の運航本数が560本となり、2022年通年の運行本数(538本)を上回ったと発表した。このうち、武漢市から欧州方面に向かった列車が128本、欧州方面から同市に向かった列車が432本だった。参照記事
また、中欧班列は中国各地の地方政府が補助金を供与することによって成り立っているという指摘もあった。それでも、中欧班列は中国、欧州、そしてトランジット国のそれぞれに恩恵をもたらしていることは間違いなく、一層の発展を遂げていくかに思われていた。
国有企業の中国国家鉄路集団の統計では、2022年にも中欧班列の便数・貨物量は前年比で約9%増と、問題なく拡大を遂げたかのようである。
ただ、これにはからくりがある。中国〜ロシア間の貨物も、中欧班列の実績に加えているからだ。2022年にはロシアに対する西側諸国の経済制裁を受け中露貿易が拡大した為、中欧班列の輸送量増加もその効果が及んだものだった。
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これまでの全ての実績を台無しにさせたのが、2022年2月24日の、ロシアのウクライナへの全面的軍事侵攻(侵略)開始だった。
この事でロシアを除いた狭義の欧州と中国の間のコンテナ輸送量は、2021年の61.8万TEUから、2022年には38.6万TEUに低下した。、、、
以上は、公開されている参照記事より抜粋。ウクライナ戦争では、ロシアに協調する中国には、欧州との関係では何のメリットが無いどころか、国際信用を大きく失墜し、EU政府は政治的、経済的中国排除の態度を明確にしている。
それに反対を唱えるのは、中国からの大型融資で国内高速道路などのインフラ整備が進行中のハンガリーくらいだ。
今後「一帯一路構想」維持に大きく迂回してでも業務継続なら、中国へロシア支援への非難の中、通過が妨害居されたり、これまで築いた中欧班列の鉄路上の中継施設維持が困難になれば中国の大損失は避けられない。
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現状の中欧班列の北ルートに将来的不安があると言う事は、ウクライナ戦争前の2022年2月9日の中国記事が指摘しており、その際に代替ルートとして、海路でドイツの港への陸揚げや、「中間回廊」として、鉄路でカザフスタンからカスピ海を渡り、トルコへ入るルート等に言及しているが、いずれも日数やコスト面、軌道幅の違い等で実現には問題が多い。』
【限定公開】ロシアの愚行でとばっちり 大回り強いられる「中欧班列」(過去記事)
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