猛暑が招く本当の恐怖
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『アインシュタインがハチについて語った言葉があります。「もしハチが地球上からいなくなると、人間は4年以上は生きられない。 ハチがいなくなると、受粉ができなくなり、そして植物がいなくなり、 そして人間がいなくなる」と予言しています。これは、オーバーな話ではなく、実に理屈の通った話です。世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち、7割はハチが受粉を媒体していると言われています。
既に生態系として、受粉に対して、ハチの存在を勘定に入れている植物が多いので、その役割を担っているハチの減少は、農産物の不作につながります。そもそも、実をつけること無く、その作物種自体が絶滅する可能性すらあるのです。受粉という作業は、ハチという存在がいて成立しています。これを、他の方法で代替しろと言われても、ほぼ無理と言われています。例えば、アメリカの農園では、ミツバチのレンタルという商売があります。果樹園やナッツなどの受粉の為に、一定の時期にトラックに満載された蜂の巣を運搬して、農地で放つわけです。ハチは帰巣本能があるので、驚くほどの高確率で働き蜂は巣に戻ります。
この空中をホバリングして、一日中ミツを集める勤勉な働き手の代わりを、仮に人間が何かしらの手段で行うとしたら、とてもじゃないですが無理です。全身に生えた毛に花粉を付けて、別の花の雌しべに受粉させるという繊細な作業を、飽きる事無く一日中、何万匹というハチが行うから、受粉は問題無く行われ、我々は食物を手に入れる事ができます。
そして、今年の猛暑ですが、ハチの活動限界を超える地域が出ています。ハチは、生存できる温度の範囲が決まっていて、それを長時間超えると、巣ごと全滅します。ハニカム構造のハチの巣は、熱がこもる構造になっている上、ハチの活動は熱を発生させます。日本ミツバチは、スズメバチと戦うと、体格差で瞬殺されてしまいますが、実は斥候などの単独行動をとっているスズメバチには、報告に戻る前に殺す手段を持っています。蜂球という技なのですが、偵察に来たスズメバチを、何百匹というミツバチが球状に包み込んでしまいます。そして、一斉に羽を振動させます。これで、球の内部の温度が上がり、スズメバチの耐えられる限界を超えて、蒸し殺されるのです。ミツバチとスズメバチの活動限界の体温差を利用した作戦ですが、もちろんミツバチ側も球の内部のハチは熱で死にます。これで、ミツバチの巣の位置がバレない限り、巣は安全です。
実は、2018年頃から、全世界でミツバチの数が減り続けており、これが地球環境の変化の一つのバロメーターになっています。そして、今年は基本的に猛暑です。穀物は受粉にハチの助けを借りない種が多いので、大丈夫ですが、果物系、豆系は全滅に近い影響を受ける可能性があります。アメリカのアリゾナ州では、ハチの巣を構成している物質が熱で溶けるという現象が起きています。こういう場合、逆に羽を使って空気を循環させて冷やすのですが、外気温が40度を超えてくると、何をしても無駄になります。長時間続くと、巣ごと全滅です。
猛暑の前からミツバチの減少は起きていますが、この原因は働き蜂が持っているはずの帰巣本能が狂う為と言われています。この原因は、良く判っていません。前段で書いたハチのレンタル業者によると、放った後、帰巣するハチが昔に比べて、かなり減ったという事です。つまり、近い将来、私達が当たり前に食べている農作物のいくつかが、商店から消える可能性があります。』