ドイツ軍、ウクライナ軍はもたらされるはずだった優位性を発揮してない

ドイツ軍、ウクライナ軍はもたらされるはずだった優位性を発揮してない
https://grandfleet.info/european-region/german-and-ukrainian-forces-fail-to-deliver-the-superiority-they-were-supposed-to-have/

『2023.07.26

ドイツのBild紙は25日、入手したドイツ連邦軍の機密文書に基づき「ウクライナ人指揮官は欧米流の戦闘教義が身についておらず、提供された西側製兵器と組み合わせることで『もたらされるはずだった優位性』を全く発揮できていない」と報じている。

参考:Bundeswehr kritisiert erstmals die Ukraine-Armee
参考:Депутат Бундестагу закликає дати Україні більше зброї, а не критикувати ЗСУ

欧米流の戦闘教義を身につけた兵士は、身につけていない指揮官の元に配属され問題を引き起こしている

ウクライナ軍の反攻作戦は「ロシア軍が入念に準備した防衛ライン」を攻略する必要があるため「結果を出すまでに時間がかかる」と当初から予想されていたものの、6月に開始された反攻作戦の成果は「当初予想」をさらに下回る結果で、このことはゼレンスキー大統領も「望んでいた進展より遅れている」と認めている。

出典:Генеральний штаб ЗСУ

反攻作戦が行き詰まっている原因は「ロシア軍が入念に準備した防衛ライン」や「予想を超える地雷原の数」だと指摘されることが多いが、ドイツ連邦軍の機密文書を入手したBild紙は「ウクライナ人指揮官に問題がある」と指摘しており、どうやら経験豊富なウクライナ人指揮官達は海外での訓練に消極的で「欧米流の戦闘教義」が全く身についておらず、ドイツ国内で予定されていた追加の訓練にも全く参加しなかったらしい。

ドイツ連邦軍は機密文書の中で「ウクライナ軍は海外の訓練で学んだ『欧米流の戦闘教義』を活かせておらず、各部隊は何かのため数十人編成の小部隊に細分化され運用されていることもあるが、そこに明確で統合された戦闘指揮を認識することができない。これではフレンドリーファイヤーの可能性が高まり、重要な作戦要素である射撃優勢を確立するもの困難で、欧米流の戦闘教義と西側製兵器がもたらすはずだった優位性を全く発揮できていない」と指摘。

出典:Telegram経由

さらに「これは個人のミスや西側諸国が実施した訓練の不備ではなく、ウクライナ人指揮官が採用している戦闘教義の問題だ。訓練に参加した戦闘経験が浅いウクライナ人兵士は『欧米流の戦闘教義』を良く理解していたが、実戦経験が豊富で階級が高いウクライナ人指揮官は訓練に消極的で『欧米流の戦闘教義』が全く身についておらず、ドイツ国内で予定されていた追加の訓練にも参加しなかった」と批判している。

要するに戦闘経験が少ない若いウクライナ人兵士は『欧米流の戦闘教義』を理解して帰国したが、配属先のウクライナ人指揮官は『欧米流の戦闘教義』が身についていないため帰国した兵士を『従来の戦闘教義』で運用している=もたらされるはずだった欧米流の戦闘教義と西側製の兵器の相乗効果が戦場で見られないという意味だ。

出典:3-тя окрема штурмова бригада

因みにドイツの野党議員はウクライナメディアの取材に「冷たい塹壕の中ではなく温かい椅子から批判すべきではない。ウクライナ軍は戦場での経験に基づき限られた物資をやりくりしているのだ。反攻作戦が遅れたのはパートナー国の支援、特にドイツが支援を躊躇したせいだ」と政府の対応を批判して追加支援を訴えている。

関連記事:スバトボ方面のロシア軍攻勢、ウクライナ軍は複数の拠点を失った可能性

※アイキャッチ画像の出典:Ministry of Defence of Ukraine
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投稿者: 航空万能論GF管理人 欧州関連 コメント: 43 』

『 Jog
2023年 7月 26日

返信 引用 

ウクライナの将兵がNATO流の戦闘教義を十分活用できておらず、結果として質的優位が減損されているとの指摘は事実でしょう。しかし、航空戦力の優勢確保とそれによる縦深打撃が十分でない状態では、例え理解と活用が万全であっても大きな戦果を挙げられたかについては疑問が残ります。これが現在の失敗の本質的な原因とまでは言えないと思います。
それよりも、ウクライナが重大な困難に直面する中、こうした機密情報がメディアから報じられた背景には「攻勢失敗の責任はウクライナ側にあり、我々は最善を尽くしている」という政治的なベクトルを感じてしまいます。もしこれが政府関係者や軍関係者によるリークであるならば、ドイツ政府はウクライナ支援を縮小する意図があるのかもしれません。
59

    nachteule
    2023年 7月 27日
    返信 引用 

 自分の考えが正しいとは思えないがウクライナがやっているのは消耗戦に近い物であると言いたいのではないか。消耗戦は末端レベルの創意や工夫を積極的に活かすようなまったく必要としないのが特徴で、言われているロシアのトップダウンに依存した戦い方に近い物を感じる。

 当然チャンスを逃すなり要らない攻撃をしたり、牛刀をもって鶏を割くなどして兵士や車両、弾薬の戦力を消耗し自分達の首を間接的にでも絞めているのはあるのではないか。
3

gepard
2023年 7月 26日

返信 引用 

所謂「NATO戦術」が発揮されなかったという趣旨だろうが、ウクライナ軍70万人の大半は元市民の動員兵や郷土防衛隊である事実を忘れてはならない。このようなごくわずかな訓練を受けた軍隊で戦うことをNATOは想定していないのではないか。
そもそも航空優勢もエアカバーも火力優勢もない要塞戦は明らかに無謀であり、ドクトリンや訓練の問題でどうにかなる領域なのかすら疑問だ。

何よりドイツはこれまでアメリカの求めを跳ね除けてその経済力に相応しい軍事力を持つことを怠ってきた。その無能なドイツの当局者が果たしてウクライナを非難できる立場なのか疑問である。
64

折口
2023年 7月 26日

返信 引用 

物資は提供できても方法論が提供できないというのは当たり前の話のように聞こえます。兵士への基礎訓練提供ですら圧倒的に時間が足りない圧縮訓練コースだったのに、まして指揮官クラスに対して数週間の座学や数回の演習だけで異なる論理体系の方法論を提供することは出来ないでしょう。まぁ、その結果兵士の戦い方と指揮官の命令に齟齬が生じてしまったり、さらには攻撃の効果に疑義が生じてしまったなら金銭物資の支援者として一言言いたくなるのも分かりますが…。

なにより大切なのは、(現時点ではまだ)どう戦うかを決めるのはウクライナ軍であるということです。その結果彼らの攻勢が中折し、人的資源も枯渇してしまったとしてもそれはウクライナ人の追うべき責任です。ウクライナ人がどう戦うかを外野が口出しできる状況があるとすれば、大多数の多国籍軍がウクライナ入りするような状況を作ってからでしょう。
29 』


早すぎィッ!
2023年 7月 27日

返信 引用 

今年のウクライナ軍によるザポリージャ攻勢が始まった最初期に、レオパルド2やブラットレーが撃破された動画が散々出回ったのは周知の事実ですが
その直前には複数のメディアから西側戦車や装甲車両の優位性について記事が上がっていたのを覚えています。

曰く、西側と東側の装甲車両の光学観測とISR能力の差位による夜間戦闘能力の圧倒的優位性から始まり被弾時の生存性の違いで結ぶ記事が多かったように思えます。
結局のところ昼だろうが夜だろうが地雷には何の関係もなく、夜には待ち伏せ攻撃をするK-52に逆に狙われる結果となりました。
生存性は実際に高かったですが被害車輌は戦闘地域から回収せねばならず、ただでさえ高い工兵の危険度はもうほとんど特攻隊レベルなってしまってます。

現場指揮官どうこうゆうレベルの話しではなくって戦略が間違っているとハッキリ言える人、発言力のある人はウクライナにいないのだろうか
昨年のヘルソン攻勢と見せかけてハルキウ攻勢をかけて更にヘルソン攻勢!成功させたような秘策が多分あるのでしょう、これもセベロドネツクから続く相当な前線の損害担当地域があっての事ですが
損害を無視しても自国民や支援国民を納得させる結果を出せるんでしょう。
まだまだ動く様子のないウクライナ軍予備は大量にありますし8月が終わる頃、みんな諦めた頃何かあるんだと期待しています。
4

    hiroさん
    2023年 7月 27日
    返信 引用 

初期の無理押しによる失敗を認めたから、戦術転換で砲撃による阻止戦術と歩兵による浸透戦術を行っていると思います。
大向こうを唸らせる戦略なんか無いでしょうから、そんなに苛々しないで進捗を見守ったら如何。 』