G20、米欧利上げの影響警戒 財務相・中銀会議開幕

G20、米欧利上げの影響警戒 財務相・中銀会議開幕
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『【ガンディナガル(インド西部)=スレヴィン大浜華、花田亮輔】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が17日、インドで開幕した。初日はロシアのウクライナ侵攻や米欧の利上げ継続による世界経済のリスクへの対応を議論した。会合では経済の下振れを懸念する声が多くあがった。

財務省の神田真人財務官は会合後、記者団に対し、ウクライナ情勢と金融の引き締めの影響、インフレの継続に伴う経済の下振れリスクについて「心配している国は少なくなかった」と述べた。

開催地ガンディナガルの地名は、インド独立の父マハトマ・ガンジーにちなむ。議長国を務めるインドのシタラマン財務相は会議の冒頭「未来は私たちが今、何をなすかにかかっている」というガンジーの言葉を引用して、各国の連携を呼びかけた。日本からは鈴木俊一財務相、日銀の植田和男総裁が出席した。

ロシアのウクライナ侵攻を受け、G20は全会一致が原則の共同声明のとりまとめを5会合連続で見送っている。同日の会合では日本を含め多くの国がウクライナ侵攻を非難した。

世界経済の動向を巡っては植田氏が16日、記者団に「非常に不確実性が強い」と語った。金融引き締めを続ける米国を念頭に、インフレ率の推移とそれに対する中央銀行の対応が「今後に関する最大の決定要因のひとつ」とも述べた。

17日は気候変動への対策を金融面から後押しする「サステナブル・ファイナンス」やインフラ投資も議論した。感染症のパンデミック(世界的大流行)などの際に機動的に対応できる財政のあり方も話し合った。

18日の会議では新興国債務もテーマになる。新興国などでは米欧の利上げで対外債務の利払いが膨らみ、インフラ整備などのために他国から資金を借り入れる際の負担が増している。債務再編とともに対外債務の透明性の確保が急務となっている。

国際課税の改革もとりあげる。12日には138カ国・地域がデジタル課税に関する多国間条約の大枠に合意した。主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁も16日に開いた会合で合意を歓迎し、2023年末までの条約の署名に向けて取り組みを強化する方針で一致した。

デジタル課税は巨大IT(情報技術)企業が多い米国に税収が集中するのを防ぐ狙いがある。各国が自国に事業拠点を持たない巨大IT企業などに課税できるようにし、消費者のいる市場国・地域にも税収が公平に行き渡るようにする。

条約の発効には各国の批准が必要になる。米国のほかグローバルサウスと呼ぶ新興・途上国の協力も不可欠だ。G20でも協調姿勢を示し、条約の発効に向けた各国の取り組みを後押しする方向だ。

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