プーチン大統領、穀物合意の延長で揺さぶり 17日が期限

プーチン大統領、穀物合意の延長で揺さぶり 17日が期限
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR13DNU0T10C23A7000000/

『【フランクフルト=林英樹】穀物輸出の合意が17日に期限を迎えるのを前に、ロシアが強硬姿勢をみせている。プーチン大統領は13日のロシア国営テレビで「要求が満たされない限り、合意枠組みから離脱するつもりだ」と語った。ロイター通信が報じた。国連や欧州連合(EU)がロシア側に延長を働きかけるが、先行きが見通せない状況に陥っている。
穀物を積んだ貨物船が黒海を航行できる穀物合意は2022年7月、ロシアとウクライナ、仲介役の国連とトルコの4者間で合意した。当初は120日ごとの延長見直しで妥結したが、ロシア側の主張により23年3月と5月はそれぞれ60日間の延長にとどまった。

プーチン氏は「我々は合意への参加を一時停止できる」としたうえで、ロシア側の要求が受け入れられた場合、合意に再参加すると述べた。ロシア政府の報道官によると、離脱は最終決定ではないという。

プーチン氏の言う「要求」とは農作物の輸出手段の確保だ。ロシアの食糧は欧米による経済制裁の対象外。ただ、ロシア側は国際銀行間通信協会(Swift)から締め出されているため、海運・保険会社との取引ができず、ロシアからの輸出が滞っていると主張している。

国連のグテレス事務総長はプーチン氏に延長を要請する書簡を送付したことを明らかにした。具体的な内容については明言を避けているが、「ロシアが懸念する障害をなくし、前向きな道を選択できるような具体的な提案」だとしている。プーチン氏は13日時点で書簡を受け取っていないと語った。

フォンデアライエン欧州委員長は13日の記者会見で「ボールはロシア側のコートにあり、世界がその決定に注目している」と述べ、世界的な穀物不足につながる恐れがあるとしてプーチン氏に合意の延長を改めて要請した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、南アフリカのラマポーザ大統領と会談し、穀物合意の重要性を確認した。そのうえで「飢餓で全世界を恐怖に陥れることを認識しないといけない」とロシアの対応を糾弾した。』