仮想通貨融資セルシウス創業者逮捕 投資家への詐欺罪

仮想通貨融資セルシウス創業者逮捕 投資家への詐欺罪
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN13DNY0T10C23A7000000/

『【ニューヨーク=竹内弘文】ニューヨーク州南部地区連邦検察は13日、暗号資産(仮想通貨)の融資大手で2022年7月に経営破綻した米セルシウス・ネットワークの創業者アレックス・マシンスキー元最高経営責任者(CEO)を同日逮捕し、詐欺罪で起訴したと発表した。投資家を欺いた疑いやトークン(電子証票)の価格を操作した疑いがある。

マシンスキー被告は証券詐欺や電信詐欺など7つの罪に問われた。17年のセルシウス設立時に、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO)で5000万ドル(約69億円)を調達したと主張していたが、検察当局の見立てでは調達額が目標の6割強にとどまったという。

セルシウス独自のトークンである「CEL」の価格を人為的につり上げた疑いもある。同意を得ないまま顧客資金でCELを購入し、価格を押し上げるなどの行為を指揮していたと検察当局は指摘した。

ダミアン・ウィリアムズ連邦検事は記者会見で「昔ながらの詐欺だろうと暗号資産のスキームだろうと関係ない。すべて詐欺だ」と述べた。

米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)、米連邦取引委員会(FTC)もそれぞれ、法人としてのセルシウスとマシンスキー氏個人を提訴した。

22年5月に米ドル連動のステーブルコイン「テラUSD(現テラクラシックUSD)」が暴落すると仮想通貨の市況が一気に冷え込んだ。セルシウスは6月に仮想通貨の引き出しや送金を停止し、翌7月に連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請した。

余波は業界全体に広がった。交換業大手FTXトレーディングや仮想通貨融資ブロックファイなどが相次ぎ経営破綻に至った。

仮想通貨関連の刑事訴追では、FTX創業者のサム・バンクマン・フリード被告も投資家に対する詐欺罪などに問われ、10月に初公判が予定される。テラUSD運営会社創業者ド・クォン氏も米国や韓国の検察当局から起訴されている。』