米国で熱波深刻、約9600万人に猛暑警報 南西部に集中

米国で熱波深刻、約9600万人に猛暑警報 南西部に集中
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『【ワシントン=赤木俊介】世界の平均気温が連日過去最高を更新するなか、米国でも深刻な熱波が広がっている。米海洋大気局(NOAA)などによると、7月11日時点でおよそ9572万8922人が猛暑警報の対象となっており、警報は米南西部に集中している。16日にかけ西部アリゾナ州では最高気温がセ氏47.2度、ネバダ州では46.7度に達するとの予報が出ており、最も警戒レベルの高い警報が発令された。

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NOAAは声明で15?16日にかけ「強烈で非常に危険な」熱波が米南西部を中心に広がり、局所的に観測史上最高の気温を記録する可能性があると警告した。米国では熱波や猛暑による死亡者数は2022年、148人と災害関連の死亡者数の中でも最多だった。93年?22年の年間平均死者数も168人と、2番目に死亡者数が多い洪水(同89人)を上回る。

熱波対策が不十分な地域では特に死者が増える恐れがある。英医学誌「ネイチャー・メディシン」に10日掲載された論文によると、欧州では深刻な熱波が発生した22年5月30日?9月4日にかけ6万1672人が猛暑により死亡した。研究者らは「(政府などによる)猛暑警報や対策は不十分だった」と指摘し、今後も気候変動により気温が上昇すれば死者数も増えると予想した。

米国の熱波対策も不十分である可能性が高い。米国勢調査局は11日発表した調査で米人口の25%近くが「熱波や猛暑に対する社会的脆弱性が高い」と分析した。この調査は住居、インフラ、所得などを考慮し地域別の災害リスクや復興による負担を試算している。猛暑に対し脆弱な人口は特に米南西部に集中しており、今回の熱波により大きな被害が発生する懸念がある。』