別に独裁者が存在しなくても、国家危機を理由に人々の監視は強まる

別に独裁者が存在しなくても、国家危機を理由に人々の監視は強まる
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/31918305.html

『欧州から流れてくる情報を見ていると、思想的に国家が個人を監視するような法律が制定される事は、天地がひっくり返っても起きないような気がするじゃないですか。しかし、これは、その国が、どういう歴史を経てきたかで変わります。現在、内戦級の暴動が起きているフランスは、歴史的に、その平地の多い広い国土が戦場になり、散々に自国民の青年~壮年層が死んできた国です。基本的に、アフリカの資源国が、決して福音ではなく、諸外国から資源を狙って戦争を仕掛けられる原因になったりするように、多くの人口を支えられる農地というのも、また外国から狙われる原因になるのです。

その為、フランスの警察は、相手にしているのが、犯罪者かテロリストかで、扱いが180度変わります。相手が犯罪者の場合には、まあ、普通に対応するのですが、相手がテロリストとなると、人権蹂躙も含めて何でもありです。拷問、脅迫とあらゆる手段が許されるのです。というのは、国家転覆に対する危機感と、それを許さない態度が、過去の経験から半端ではないからです。日本人のジャーナリストで、取材対象が悪かったらしく、フランスの警察に拘束された人物がいるのですが、彼が語った内容によると、警察署に拘束された期間は、歯がガチガチと鳴る恐怖を覚えたそうです。スパイの容疑が、かけられたから、明らかに対応が違ったと証言しています。容疑が晴れて開放された時には、安堵で気持ちが一杯になったと恐怖体験を語っています。

国家を害する者は、絶対に許さないという姿勢は、筋金入りなので、フランスの左派政党でも、国防軍の維持は、国家防衛の為に必要だと明言しています。左派と名が付けば、平和・軍縮一択かと言えば、その国の事情で、そうではないのですね。で、フランスの暴動なのですが、どうも仕掛け人がいる疑惑が出てきました。

事件そのものは、偶発的に起きたのは、間違いないでしょう。しかし、これを「使える」と考えて、扇動に使った団体なり人物なりがいるようです。というのは、事件が起きてから一週間後には、デモの支持者が着るお揃いの抗議文の書かれたTシャツとか、印刷されたプラカードとか、大量に準備されているのですね。そして、それがフランス全土のデモ参加者に配布されている。これは、かなり組織的に準備を進められる団体が存在しないと、無理があります。

暴動の被害は、7月4日の時点で、200以上の店、300の銀行支店(銀行が狙われるところに、フランス社会の闇と対立を感じます)、250のタバコ屋が襲撃・略奪にあい、被害総額は1500億円を超えているそうです。1000件以上の建物、5000台以上の自動車が放火され、3000人以上の逮捕者が出ています。暴動の投稿映像を見ていると、花火を爆薬代わりに使っている場面が見られますが、3人の男が300Kgの花火の所持で逮捕されていて、個人レベルで用意できる量ではありません。

この結果を受けてではないですが、実は最近、治安強化を名目にして、フランスの司法改革法が可決しています。警察が必要に応じて、スマホや電子機器を遠隔操作し、カメラ・マイク・GPSを起動・監視する事が可能になる法案です。プライバシーの侵害もいいところですが、これが可能になったんですね。欧州が一番嫌いそうな内容ですが、テロ行為と組織犯罪防止の為には、仕方ないという理由で合法化されました。つまり、別に独裁者が存在していなくて、民主主義と人権意識が十分に発達したと評価されている国でも、国家維持の為となると、監視の目が入る事があるという事です。

そもそも、今回の17歳の少年の射殺事件ですが、悪化する治安に対抗する為に、警察が発砲して良い状況に関する要件が、大幅に引き下げられたという背景があります。公権力が発砲できる状況というのは、国によって違うのですが、フランスも昔は日本の警察並に、発砲自体がニュースになるくらい、慎重に扱っていたのです。しかし、それでは治安維持が不可能という事になり、警察の判断の範疇を大幅に広げました。その為、出回った動画にあるように、尋問中に二人の警官の片方が、既に銃を抜いて、少年に対して威嚇しているのですね。

この少年ですが、無免許な上、バスの専用レーンを、レンタカーで走行していたそうで、止められて尋問されるのは、当たり前の状況でした。渋滞で車が停車するまで、警察の警告を振り切って、逃走していたという事前の行動も、既に犯罪者です。まぁ、これを差別と結びつけて暴動を起こすのは、論理の飛躍があります。根っこには、アルジェリア難民の子孫である彼らには、フランスの法律と文化を尊重する考え方が、そもそも無いという事があります。この辺りの詳しい話は、先日の投稿で解説しました。ようは、フランスの植民地政策の失敗の結果です。

暴動を起こして、インフラを破壊しても、その時は溜飲が下がるかも知れませんが、自分達の首を締めている事に気がつくべきです。今回のような暴動が、放置されるわけがなく、再発防止の為の何らかの処置が決定され、それは、有り体に言えば、市民の生活を縛る方向に作用します。』