プーチン氏が演説 ワグネル首謀者「国を裏切った」

プーチン氏が演説 ワグネル首謀者「国を裏切った」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR26CV80W3A620C2000000/

『ロシアのプーチン大統領は26日夜に国営テレビで演説し、民間軍事会社のワグネルの武装蜂起の停止について「最後の一線で立ち止まった」と流血の事態を回避したことを評価した。反乱の首謀者がロシアを裏切ったと強調した。プーチン氏が武装蜂起の停止後にワグネルに言及したのは初めて。

プーチン氏は武装蜂起について「いずれにせよ鎮圧されただろう」と強調した。ワグネル創設者のプリゴジン氏への直接の言及はなかったが、「反乱の首謀者たちはこのことを理解していなかったはずがない」と批判した。「国や国民を裏切った」とも述べ、暗に同氏の行動を強く非難する言葉が目立った。

ロシア国防省と対立していたプリゴジン氏は23日夜に武装蜂起を宣言し、南部ロストフ州の軍事施設を制圧、首都モスクワの南方200キロメートルまで迫った。プーチン氏は演説で「悲惨な流血の事態を避けるために、発生当初から私が直接の指示をとった」と自らが率先して対応を進めたと強調した。

プーチン氏はワグネルの戦闘員らに対し「唯一の正しい決断を下したワグネルの戦闘員らに感謝する」と語った。戦闘員らはロシア国防省と契約を結べるほか、「希望者はベラルーシに行くこともできる。私の約束は守られる」と選択の機会があると強調した。

武装蜂起はプーチン氏の意を受けたベラルーシのルカシェンコ大統領がプリゴジン氏との仲介役となり、24日夜に武装蜂起の停止で合意。反乱は1日で収束した。プーチン氏はルカシェンコ氏について「努力と平和的解決への貢献に感謝する」と謝意を示した。

プーチン氏は「祖国にとって最も困難な試練を共に乗り越えることができた」とロシア国内の結束が反乱の停止につながったと強調した。

プリゴジン氏は反乱停止の合意を受けて24日夜「我々は隊列を反転し駐屯地へと戻っていく」と通信アプリのテレグラムに投稿した。ロストフ州を離れてからの消息は不明になっている。ペスコフ大統領報道官は24日夜に「プリゴジン氏の刑事事件は取り下げられ、ベラルーシに出国する」と記者団に述べた。

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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分析・考察

プリゴジン氏はロシアの大統領になったら、世界はどうなるか。それを考えなければならない。現状の混乱はプーチンが独裁者として暴走した結果である。法による統治がない国だから、反乱がおきやすい。しかも、独裁者の周りは無能なイエスマンばかりである。ショイグ氏の無能さは顔に書いてある。プリゴジン氏はショイグに従うわけがない。プーチンはプリゴジン氏のことを国を裏切り者というが、国を裏切ったのではなく、プーチンを裏切った。でも、プーチンを裏切ったものは将来、民族のヒーローになる可能性が高い。
2023年6月27日 6:38

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滝田洋一
日本経済新聞社 特任編集委員
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ひとこと解説

①昨日のWBSでは、ワグネルの反乱がプーチン体制の「終わりの始まり」になるのでは、と解説しました。演説するプーチン氏は黄昏時の老いた独裁者そのものです。反乱の首謀者というのみで、プリゴジン氏の名前を挙げることができない。
②一方、プリゴジン氏のメッセージもプーチン氏の名前を挙げていません。政権への反乱を否定しつつ、軍幹部の無能ぶりを糾弾する。プーチン氏とプリゴジン氏。どちらに迫力があるかといえば、命を捨てる覚悟のプリゴジン氏でしょう。
③これ以上、プリゴジン氏を追い詰めると、「たった1日の反乱」を長期化させかねない。「裸の王様」であるプーチン氏は、そんなところに追い詰められたようです。

2023年6月27日 8:48 (2023年6月27日 9:02更新)

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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分析・考察

米紙ワシントンポストは情報機関の分析として、プーチン大統領は少なくとも24時間前にプリゴジン氏率いるワグネルによる反乱の兆候を把握していた可能性ありと報じた。だが、すぐ強力な対抗措置がとられることはなかった。そこに、プリゴジン氏にどう対処すればよいのか決めかねるプーチン大統領の心の迷いや指導力低下、ロシア権力層内部での意見対立を見出すことができるのかもしれない。当のプーチン大統領は26日の演説で、「過ちを犯した者たちに正気に戻る機会を与え、自分たちの行動が社会から断固として拒絶され、ロシアにとって悲劇的かつ破壊的な結果をもたらすことを理解させるために、時間が必要だった」と釈明した(ロイター)。

2023年6月27日 7:38 』