米国、ワグネル反乱を事前把握 核リスクへの影響警戒
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN250QE0V20C23A6000000/
『【ワシントン=坂口幸裕】米国の情報機関がロシアの民間軍事会社ワグネルによる武装蜂起の画策を事前に把握していたことがわかった。米主要メディアが24日報じた。強硬派のワグネルがロシア軍を掌握すれば、プーチン大統領がウクライナで核兵器を使用するリスクが高まりかねないと警戒を強めていた。
米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、米情報機関はワグネル創設者のエフゲニー・プリゴジン氏が確執を取り沙汰されてきたロシア軍の高官らを狙って武装蜂起する準備をしているとの情報を6月中旬に得た。21日にはバイデン政権や米軍の高官らに説明した。
米政府内にはプリゴジン氏が軍全体の実権を握れば①ロシアのプーチン大統領の権力基盤②同国の核管理体制――を不安定にさせかねないとの懸念があった。
米情報機関はワグネルの計画に関する情報が漏れないよう細心の注意を払っていたもようだ。ニューヨーク・タイムズ紙は、プーチン氏がプリゴジン氏の行動をめぐり、米欧など西側諸国の責任にする口実を与えたくなかったと報じた。米政府当局者の話として「武装蜂起を外国の陰謀によるものだと主張するのは十分に予想できた」と伝えた。
今回の内部対立は、ロシア国防省が今月上旬にワグネルなどの志願兵部隊に対して6月末までに同省と契約するよう命じたのが引き金になったとみられる。プリゴジン氏は反発し、同省の監督下に入るのを拒んだ。
プリゴジン氏が後にワグネルとなる組織を創設したのは14年。同年のウクライナ東部紛争に参加し、シリアやアフリカの紛争にも関与してきた。今回の侵攻では受刑者も雇い、ウクライナ東部の激戦地バフムトの攻略作戦を担うなど、ロシア正規軍と異なる指揮系統で前線に雇い兵を投入し、士気の低下が指摘されたロシア軍を補う部隊を形成した。
米政府の推計では、22年12月から23年5月ごろまでにバフムト周辺などで2万人以上のロシア人が死亡した。その半数がワグネルの戦闘員だと分析する。ワグネルはロシアの刑務所で採用して戦地に派遣しており、犠牲者の多くは元囚人だった。十分な戦闘訓練や指導がないまま戦地に送り込まれた。
22年秋ごろからはプリゴジン氏とロシア軍幹部との対立が表面化した。プリゴジン氏は弾薬不足で「膨大な死者」が出ていると訴え、ロシアのショイグ国防相やゲラシモフ参謀総長への批判を繰り返してきた。
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前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
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ひとこと解説 ブリコジンの言動から想定されていた可能性の一つ。また、やや粗っぽいですが「プーチンとプリゴジンの壮大な出来レース」というシナリオも想定される可能性の一つ。
あとはその確信のレベルを高めるだけの追加情報をどれだけ積めるか。
2023年6月25日 19:06 (2023年6月25日 19:26更新)
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小島武仁のアバター
小島武仁
東京大学 マーケットデザインセンター所長
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別の視点 ちょうどすごく久しぶりにアメリカで学会に参加してたのですが、このニュースはやはり衝撃的で話題になっていました。
ロシアからの参加者もいましたが(当然かもしれませんが)大変そうでした。
そういえば何年か前にやはり学会に出ていた時にトルコの反エルドアンのクーデター未遂がありその場にいたトルコ人参加者(私の分野はトルコ人の方が多い)が帰れなくなったりして大変でした。
改めて、世界のいろいろなところで危険なことが起きていることを痛感します。
2023年6月25日 16:22 』