「戦争保険、選択肢に」 ウクライナ復興会議が閉幕
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR2294E0S3A620C2000000/
『【ロンドン=江渕智弘】61カ国の代表らがロンドンに集まったウクライナ復興会議は22日、2日間の日程を終えて閉幕する。民間投資の促進に向け、英政府などは戦争関連のリスクに対応した保険の重要性を提起した。ウクライナのクリーンエネルギーへの移行を支援する多国間枠組みも発足した。
戦争関連の損失をカバーする保険の選択肢がないことが、戦時中や復興期のウクライナへの民間投資を妨げるとの見方がある。英政府は会…
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『英政府は会議で公表した「ロンドン会議フレームワーク」で戦争リスク保険の「選択肢を使えるようにする」と訴えた。
英政府は世界銀行グループの多数国間投資保証機関(MIGA)に最大2000万ポンド(約36億円)を拠出する。欧州復興開発銀行(EBRD)や欧州委員会、ノルウェー政府、スイス政府なども戦争保険の強化に動き、会議にあわせウクライナの民間保険市場の再開に向けて協力する方針で合意した。
EBRDは「戦争でほぼ閉ざされた保険市場の再開は戦時中の回復力の確保や復興の成功のカギになる」と指摘した。ウクライナ復興に関する新たな保証機関を設立する可能性などを模索する。
会議ではウクライナのエネルギー部門の支援も議題になった。主要7カ国(G7)と東欧や北欧の諸国はエネルギーの復興やクリーンエネルギーへの転換を促す「クリーンエネルギーパートナーシップ」を創設した。再生可能エネルギーなど脱炭素電源を増やし、温暖化ガスの排出の多い石炭火力発電の縮小も支援する。
EBRDは巨大ダムの決壊で損失を被った水力発電会社などウクライナのエネルギー部門に合計6億ユーロ(約900億円)を支援すると表明した。
英政府は投資や貿易、専門知識の共有といった形でウクライナの復興支援を約束する企業を事前に募り、署名した企業名を復興会議のウェブサイト上で公表した。38カ国から21業種の400社を超える企業が署名した。
各国政府から支援額の積み増しも相次いだ。欧州連合(EU)は24~27年に500億ユーロの財政支援をする。英国は今後3年間で30億ドル(約4000億円)相当の世銀の融資を保証する。米国は13億ドル以上の追加支援を表明した。』