ウクライナ侵攻参加で刑罰免除に ロシア議会で法案通過

ウクライナ侵攻参加で刑罰免除に ロシア議会で法案通過
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR21D0C0R20C23A6000000/

『ロシア上院は21日、軍事行動に参加する受刑者の刑罰を免除する法案を採決した。ウクライナへの軍事侵攻に招集する兵士を増やす狙いがある。法案は20日に下院を通過しており、近くプーチン大統領が署名して成立する見通しだ。

対象となるのは量刑が軽度あるいは中程度で、ロシア軍の招集に応じたり、ロシア軍と契約を結んだりして軍事行動に参加する受刑者だ。具体的には、軍功をあげて国家勲章を受章した場合などに刑事責任を免除される。

ロシアはウクライナへの軍事侵攻で兵士の損失が拡大している。このため、プーチン大統領は2022年9月に部分動員令を出し、約30万人の予備役を招集した。6月に入りウクライナ軍が反転攻勢に出る中、侵攻の長期化に伴う兵員不足も予想される。

ロシアでは民間軍事会社ワグネルが何万人もの受刑者を兵士として雇用し、ウクライナの前線に投入してきた。同社によると、軍事行動に参加した受刑者は刑罰を免除されている。今回の法制化で受刑者の参加がより合法化され、招集しやすくなる。

ロシア軍の強化について、プーチン大統領は21日、モスクワで開いた軍事教育機関の卒業生との会合で「最も重要な課題は3つの核戦力(戦略爆撃機、大陸間弾道ミサイル=ICBM、原子力潜水艦)の発展だ」と表明した。新型ICBM「サルマト」を近く実戦配備するなどと指摘した。

タス通信によると、プーチン氏はウクライナ軍による反攻の最新状況について、前線は「ある程度、落ち着いている」と指摘したうえで、「(ウクライナ軍が)兵員と武器に深刻な損害を被った」ことと関係しているとの見方を示した。』