夏の内臓冷え　男性に多い、隠れ体調不良どう防ぐ
カラダづくり
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD028U50S3A600C2000000/

　※　今日は、こんな所で…。

『東洋医学では万病のもとと言われる冷え。意外なことに夏でも悩まされる人が増えている。この季節に注意すべきは、気付きにくいといわれる「内臓冷え」だ。体の深部が冷える原因や対処法を知っておこう。

冷たい飲食物、冷房…夏に内臓が冷えやすい理由

近年、真夏の暑さが厳しさを増している。暑いとついつい過剰摂取しがちなのが、冷たい飲み物や食べ物だ。これは内臓、特に胃腸を直接冷やすことになる。

一方、オフィスビルや商業施設、電車などはしばしば冷房が低い温度に設定されている。外から冷房がよく効いた空間に入り、汗がひいても薄着のままでいると、やがて体は芯から冷えてくる。

全国冷え症研究所（東京・墨田）の山口勝利所長は「かなり温度差がある屋外と屋内を何度も出入りすると、自律神経が乱れて体温調節が追いつかなくなる」と指摘する。

食事や運動によって生み出された熱は血液とともに全身に運ばれる。体温を一定に保つために、血管を拡張または収縮させて血流をコントロールしているのが自律神経だ。内臓冷えはこの働きがうまく機能しなくなり、内臓に適切な熱が運ばれなくなることでも起こる。

「内臓の冷えを訴える人はストレスを抱えていることが多い」と話すのは、冷え症外来がある横浜血管クリニック（横浜市）の林忍院長。典型的な冷え症である手足の末端冷えと比べ、内臓冷えはメンタル由来が多く、下痢の症状がよく見られるという。「ストレスから自律神経が乱れ、手足の末端部で血管の収縮ができなくなる。すると内臓に血液を集められず、冷えが生じる」（林院長）

手足ではなく内臓が冷えるしくみ

血管が収縮しないと、体の表面から熱が逃げていき、内臓は冷えるが、放熱中の手足などは温かいという現象が起こる。このため内臓が冷えていると気付かない人も多い。

山口所長によると「特に男性の間で増えている冷えのタイプ。自覚がないからキンキンに冷えたビールを飲むなどして、さらに内臓冷えを助長させているケースが多い」。

健康な状態であれば、深部体温は体表面温度より0.5〜1度ほど高い37度前後に保たれている。これは内臓の働きを最も活発にする温度だとされる。「つまり内臓冷えを放置すると内臓機能が低下する。また代謝が落ちて太りやすくなる。免疫力が下がり、様々な不調を招く恐れがある」と山口所長は警告する。

内臓冷えと血流を改善する生活習慣は？

これらを防ぐには、夏こそ内臓を冷やさず温める心がけと血流をよくする生活習慣が大切だ。「人肌より冷たい飲み物や食べ物はなるべく避けてほしい。お勧めは毎朝、白湯を一杯飲むこと。胃腸を温め、自律神経を整える効果が期待できる」と林院長。白湯にレモン、はちみつ、しょうがなどを加えて味をアレンジするのもいいだろう。

ヒハツというコショウ科の香辛料を1日1グラム（小さじ2分の1程度）取ることを勧めるのは山口所長。ロングペッパーとも呼び、粉状のものがスーパーなどで入手できる。摂取方法は料理や飲み物に振りかけるだけ。「ヒハツは胃腸を温めるうえに、含有の辛味成分ピペリンが毛細血管を強くすることが知られている」（山口所長）。毛細血管は全身に熱を届ける血液の重要な通り道だ。

林院長は「血流と代謝アップに有効なのはやはり運動。ストレスがもたらす内臓冷えには心身のリフレッシュを兼ねたジョギングを。深呼吸しながら全身を大きく動かすストレッチ（左図）も取り入れて」とアドバイスする。

夜は一日の冷えをリセットするため、シャワーで済ませず湯船に浸かろう。「全身浴で39度ほどのぬるめの湯に30分以上浸かるのが望ましい」と林院長は話している。

（ライター　松田　亜希子）

「NIKKEIプラス1」のTwitterアカウントをチェック
【関連記事】

・「温活」、グッズ探しにも熱　履く湯たんぽや白湯
・その体調不良、寒さと乾燥が原因?　厳冬の健康管理7選
・在宅疲れは入浴剤でいやす　むくみや肩こりに効果大　』