次期NATOトップの人選佳境 有力候補が「米国詣で」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023061400684&g=int
『【ワシントン時事】北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長が9月末で任期満了を迎えるのを前に、後任人事を巡る動きが活発化している。有力候補が相次いで米国を訪れる一方、ストルテンベルグ氏の続投を望む声も浮上。7月のNATO首脳会議をにらみ、後継レースが佳境に入っている。
GDP比2%の国防支出要求 米大統領、NATO加盟国に
「あなたの指導力のおかげで、NATOは重要な時期を乗り越えた。素晴らしい仕事をした」。バイデン米大統領は13日、ホワイトハウスを訪れたストルテンベルグ氏をねぎらった。
ノルウェー首相などを歴任したストルテンベルグ氏は、2014年からトップを務める。フランスのマクロン大統領から「NATOは脳死状態」と批判されたが、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援やフィンランドの加盟を主導。9月末での退任を表明しているが、続投を求める声も根強い。
後任の有力候補に挙げられるデンマークのフレデリクセン首相も今月5日、ホワイトハウスを訪れた。デンマークはこれまで、国防支出がNATO基準の国内総生産(GDP)比2%に満たなかったが、最近になって大幅増額を表明。ウクライナ兵に対する戦闘機の操縦訓練を主導するなど、活発な動きが目立つ。「フレデリクセン事務総長」が実現すれば、NATO初の女性トップとなる。
8日にホワイトハウスを訪問したスナク英首相も、バイデン氏との首脳会談でウォレス国防相を推薦したとの見方が広がる。ウォレス氏について、スナク氏は「世界中の同僚から尊敬されている」と太鼓判を押す。
NATOは1949年の設立以来、欧州出身者が事務総長を占めてきた。トップ人事は全会一致が原則だが、盟主・米国の意向は全体の流れを左右する。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は「次が誰になるにせよ、加盟国全体で支持でき、変革のリーダーとなり得る人物であるべきだ」と指摘している。』