ゼレンスキー大統領「ウクライナ国旗が戻ったことに感謝」…7集落奪還

ゼレンスキー大統領「ウクライナ国旗が戻ったことに感謝」…7集落奪還
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230613-OYT1T50206/

『ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は12日夜のビデオ演説で、ウクライナ軍のロシア軍への大規模な反転攻勢に関し「戦闘は厳しいが、我々は前進している」と強調した。ウクライナの国防次官は12日、反攻開始から約1週間で東・南部で7集落、面積にして約90平方キロ・メートルを解放したとSNSで発表した。

 ゼレンスキー氏は「兵士の 強靱 さが結果をもたらしている。解放された集落にウクライナの国旗が戻ったことに感謝する」と述べた。

 ウクライナが奪還した7集落は東部ドネツク州が四つ、南部ザポリージャ州が三つだった。露軍が 塹壕 や地雷原などで守りを固める防御陣地までは10キロ・メートル程度離れているとされる。

 国防次官は13日、露軍が攻撃無人機や砲撃などで反撃していると明らかにした。ゼレンスキー氏は12日のビデオ演説で戦場の悪天候に触れたが、天候が回復すれば、露軍も攻撃ヘリの大量投入が可能になる。

 ウクライナ軍は、反攻用に編成した旅団を本格投入せずに温存しており、投入時期を見極めているとみられる。フランスのマクロン大統領は12日、反攻は「数週間から数か月かかる」との見通しを示した。

 米政策研究機関「戦争研究所」は、ウクライナ軍が今月4日以降、段階的に開始した反攻で少なくとも三つの戦線で領土奪還を目指していると分析している。

 ドネツク州南西部ベリカノボシルカを起点にザポリージャ州にまたがる地域を南下し、港湾都市マリウポリやベルジャンシクを目指す「南ドネツク戦線」と、同州西部オリヒウから露軍補給の拠点都市メリトポリに南進する「ザポリージャ戦線」は、露本土とロシアが一方的に併合した南部クリミアの分断が目的だ。

 露軍が「全域制圧」を宣言したドネツク州の要衝バフムトに反撃する「バフムト戦線」は、露軍の戦力分散が狙いとみられている。

 一方、ウクライナ空軍は、露軍が13日未明に巡航ミサイル14発と無人機4機を発射したのに対し、ミサイル11発と無人機1機を迎撃したと発表した。ゼレンスキー氏の出身地南部クリビー・リフでは5階建ての集合住宅が破壊され、11人が死亡し、20人以上が負傷した。』