サウジ、米国の原子力協力狙う 中国接近で揺さぶり

サウジ、米国の原子力協力狙う 中国接近で揺さぶり
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『【ドバイ=福冨隼太郎、ワシントン=坂口幸裕】サウジアラビアが同国との関係立て直しを探る米国に揺さぶりをかけている。ブリンケン米国務長官はサウジアラビアで実力者ムハンマド皇太子らと会談した。サウジはイランとの和解を仲介した中国に接近すると同時に、米中対立をテコに米国からも原子力協力などの実利を狙う。

ブリンケン氏は6日午後に西部ジッダに到着。その後、1時間40分にわたって皇太子と会談した。米国務省…

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『米国務省によると両者は中東の安全保障やエネルギー分野での協力拡大について話し合った。

ブリンケン氏は7日にはサウジの首都リヤドでペルシャ湾岸6カ国でつくる湾岸協力会議(GCC)の閣僚級会合にも参加し「米国はこの地域に残り、GCC各国との連携に大きな投資をし続ける」と強調した。

サウジが米国に期待するのは原子力発電での協力だ。原子力分野では中国やロシアとの協力も視野にあるとされる。米国が最大の競争相手と位置づける中国に近づく姿勢を誇示し、米国を再び引きつけて具体的な協力を得る思惑だ。一方、核開発につながりかねない技術の提供に米国は二の足を踏む。

ブリンケン氏の訪問は、人権問題をめぐって隙間風が吹く両国の関係を修復する動きの一環だ。2018年にイスタンブールのサウジ総領事館で発生した米在住のサウジ人記者殺害事件をめぐり、バイデン政権はムハンマド皇太子が承認したと結論づけ両国の関係は冷え込んだ。

22年7月にはバイデン氏がサウジを訪問し、サルマン国王や皇太子に価格が高止まりしていた原油の増産を求めた。増産投資で収入源の原油価格水準を高めにとどめたいサウジとの議論はかみ合わず、むしろサウジは減産を続ける。

米国の影響力が低下したのと対照的に、中東で存在感を高めつつあるのが中国だ。16年に断交したイランとサウジは3月、中国の仲介で外交正常化で合意した。両国の外交正常化をきっかけに、中東ではシリアとサウジ、イランとアラブ首長国連邦(UAE)やエジプトとの間などで、長年の対立関係を解消する動きが急速に広がる。

中国が仲介した中東での「雪解け」は、イランやアサド政権と対立する米国の外交方針とは必ずしも一致しない。

米国はもともとサウジとイスラエルの和解を進めてイランを孤立させる戦略を描いていたが、イランとサウジの接近で目算は狂った。米CNNによると、ブリンケン氏はムハンマド皇太子との6日の会談でサウジとイスラエルの関係正常化にも触れ、協議の継続で合意した。

人権を重視するバイデン政権にとって、サウジの人権問題を無視して両国関係を一気に修復するのは難しい。ブリンケン氏は6日のムハンマド皇太子との会談でも「我々の2国間関係は人権の進展によって強化される」とクギを刺すのを忘れなかった。

人権問題を棚に上げてサウジとの関係を優先すれば、与野党や世論の反発は避けられない。2024年11月の大統領選での再選をめざすバイデン氏が重視してきた人権問題で妥協はできないゆえんだ。

米ジョージ・メイソン大の上級客員研究員のウムド・ショクリ博士は「ブリンケン氏のサウジ訪問は、両国が意思疎通を図ろうとしていることを意味している」と指摘。同時に「今回の訪問が両国関係を大きく改善するとは考えにくい」とも強調した。

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