米国務長官、サウジ皇太子と会談 人権状況改善促す
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN074460X00C23A6000000/
『【デモイン(米アイオワ州)=坂口幸裕】ブリンケン米国務長官は6日、サウジアラビア西部ジッダで同国の実力者ムハンマド皇太子と会談した。国務省によると、ブリンケン氏は両国の関係を強化するにはサウジの人権状況を改善する必要があると強調した。
バイデン政権は2021年2月、18年にトルコで起きたサウジの著名ジャーナリスト殺害事件に皇太子が関与したと結論づけた。これをきっかけに両国関係はぎくしゃくした。
皇太子を厳しく批判してきたバイデン米大統領は22年7月にサウジを訪問した際も人権問題を提起し、議論は平行線だった。ブリンケン氏は「我々の二国間関係は人権の進展によって強化される」と訴え、人権問題を重視する姿勢を改めて示した。皇太子の反応は明らかになっていない。
米国はサウジを含む中東で存在感を増す中国に対抗するため、地域での関与強化をもくろむ。中国がサウジとイランによる関係正常化の合意を主導したことに危機感を強めており、関係を立て直す糸口を探っている。
ブリンケン氏のサウジ訪問は関係修復の一環といえる。皇太子との会談で両国が停戦を仲介したスーダン情勢を巡り、米国人退避に関するサウジの協力や戦闘停止に向けた取り組みに謝意を伝えた。
サウジとイランによる事実上の代理戦争の様相だったイエメンの安定に向けた決意を確認した。クリーンエネルギーや技術支援など経済分野での連携を深める方策を議論した。
サウジは中国と同国の広域経済圏構想「一帯一路」で協力を深め、脱石油依存を目指すサウジの経済構造改革「ビジョン2030」でも連携する。米メディアによると、米政府が中東で大規模なインフラ整備の構想をサウジやインド、アラブ首長国連邦(UAE)と協議しており、具体策で巻き返しを急ぐ。
ブリンケン氏はサウジ訪問に合わせ、7日にアラブの主要産油国で構成する湾岸協力会議(GCC)の閣僚会合に出席する。8日にはサウジのファイサル外相と過激派組織「イスラム国」(IS)によるテロの脅威への対処策を協議する閣僚会合を共催する。』