共和・ペンス氏が立候補届け出 乱戦でトランプ氏に利か

共和・ペンス氏が立候補届け出 乱戦でトランプ氏に利か
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『【ワシントン=坂口幸裕】マイク・ペンス前米副大統領は5日、連邦選挙委員会に2024年11月大統領選への立候補を届け出た。候補者が乱立する野党・共和党内の構図は強固な支持者が多いトランプ前大統領に有利になるとの見方が広がる。

「来週に戻ってくる」。ペンス氏は3日、共和の候補者指名争いの初戦となる中西部アイオワ州の会合に出席した際に語った。この日は大統領選への対応について言及を避けたものの、64歳に…

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『この日は大統領選への対応について言及を避けたものの、64歳になる自身の誕生日の7日に再び同州で演説して正式に出馬表明する見通しだ。

アイオワは人口の9割ほどを白人が占める共和の地盤のひとつで、出馬表明した前大統領や南部フロリダ州のロン・デサンティス知事らも相次ぎ訪れた。慣例に従って24年1月にも最初の党候補者指名争いとなる党員集会を開く予定だ。

共和の候補者指名争いは乱戦の様相をみせる。前大統領やデサンティス氏のほか、ニッキー・ヘイリー元国連大使、ティム・スコット上院議員、南部アーカンソー州のエイサ・ハチンソン元知事、投資家のビベック・ラマスワミ氏が出馬の意向を示す。

週内にはペンス氏に加え、東部ニュージャージー州のクリス・クリスティー前知事と中西部ノースダコタ州のダグ・バーガム知事が立候補を表明する計画だ。

候補の乱立は熱狂的な支持者を持つ前大統領にとって党候補者指名の獲得に寄与する可能性がある。米紙USAトゥデーは「候補者が多ければ反トランプ票が分散し、前大統領の支持が40%未満でも共和党の指名を得られる」との見方を紹介した。

前大統領に批判的な立場をとってきた東部ニューハンプシャー州のクリス・スヌヌ知事は5日、米紙への寄稿で出馬しないと表明した。「前大統領が候補者になれば共和党は再び敗北する」と指摘。「勝利への道筋が見えない候補は退場すべきだ」と促した。

東部メリーランド州のラリー・ホーガン前知事も候補者が多くなれば「前大統領の指名獲得を後押しする可能性がある」と警鐘を鳴らす。

米リアル・クリア・ポリティクスによると、世論調査の平均支持率のトップは前大統領の53%で、デサンティス氏の22%が続く。次いでヘイリー氏は4.4%で、4位のペンス氏は3.8%にとどまる。

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前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
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ひとこと解説 他候補が増えることでデサンティスが不利とみられていますが、その影響がみえてくるのはもう少し先。各種世論調査をみると、デサンティス出馬決定表明後も共和党支持者内の大きくは動いていません。基本的にはトランプが50%前後、デサンティスが25%前後とダブルスコアは変わらず。
2023年6月7日 8:02いいね
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今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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分析・考察 キリスト教福音派のペンス氏は、20年大統領選まではトランプ氏と福音派を価値観の違いを乗り越えてつなぎとめる役割を担ってきました。そのため、ペンス氏が出馬すればトランプ氏から福音派の支持を多く奪う可能性はあるのですが、今は兆候すらありません。同派の中にも、21年1月6日にペンス氏がトランプ氏の要請を拒みバイデン氏の勝利認定を阻止しなかったことを裏切りと受け止める人が多いためでしょう。ペンス氏は、この「誤解」を解き福音派や社会保守派の支持を奪還し、白人福音派が多いアイオワ州での初戦の勝利を目指すことなります。しかし、トランプ氏の大きな失策でもないかぎり、最初から不利な形勢の挽回は難しいと覆います。
2023年6月6日 21:23いいね
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菅野幹雄
日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
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ひとこと解説 トランプ氏にとっては願ってもない、そしてトランプ氏を追い出したい共和党主流派には悩ましい展開になった感があります。問題は出馬表明した、また表明が見込まれる対抗候補から、トランプ岩盤支持層を突き崩す斬新さや勢いが感じられないことです。実業家出身で新進気鋭のバージニア州のヤンキン知事あたりが出てくると、風向きが変わるかもしれませんが。
指名争いは「トランプvs非トランプ」の戦いになる可能性が高そうです。気が早いですが、非トランプの候補一本化がカギとなりそうです。トランプ氏との一騎打ちなら民主党で最も強いといわれるバイデン大統領も高齢不安が取り沙汰されます。運命のいたずらが再び起きるのでしょうか。
2023年6月6日 19:07 』