ラオス、中国頼みの経済回復 鉄道開通で観光客呼び込み
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS026QX0S3A600C2000000/


『ラオスの経済が回復に向かっている。2023年の経済成長率は前年より1.7ポイント高い4.0%と、新型コロナウイルス禍前の水準に迫る見通しだ。中国とつながる鉄道が4月に全面開業し、国内総生産(GDP)の1割前後を占める観光業が経済をけん引する。中国への依存度が一段と高まる懸念もある。
ラオス北部の都市ルアンプラバン。歴史的な寺院が数多く残り、世界遺産にも指定された街では中国人観光客が増加している。…
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『歴史的な寺院が数多く残り、世界遺産にも指定された街では中国人観光客が増加している。初めて訪れた雲南省出身の会社員、周さん(42)は「街並みがきれいだ。気候も過ごしやすくまた来たい」と興奮気味に話す。
アジア開発銀行(ADB)は4月、ラオスの23年の実質GDP成長率が4.0%になるとし、従来の予想から0.5ポイント引き上げた。コロナ禍前の19年の4.7%に迫る水準だ。ラオスは20年にマイナス成長となった後、21年と22年は2%台のプラスにとどまっていた。
最大の要因は観光業の復活だ。ラオス政府によると23年1〜4月の外国人観光客数は111万人となり、既に22年1〜6月の実績を上回った。ADBは23年通年で260万人と、前年に比べ倍増すると予想する。19年の480万人には及ばないものの、観光業の経済への寄与は大きい。
全面開業したラオスと中国を結ぶ鉄道がけん引する。ラオスの首都ビエンチャンから中国・雲南省の昆明市までの約1000キロメートルを結び、21年12月に貨物輸送、23年4月に旅客輸送を始めた。総工費60億ドル(約8300億円)の約6割を中国輸出入銀行からの有利子負債でまかなった。
ラオスと中国の双方向で1日1本運行し、ルアンプラバンや中国国境の町ボーテンを通過する。鉄道開業にあわせてルアンプラバンでカフェを開業したルクソアンさん(35)は「中国人観光客が急増した。運行本数をもっと増やしてほしい」と期待する。
ラオス政府は5月、23年から3カ年の中国人観光客誘致計画を公表した。特定の国に絞った誘致策は異例だ。外国からラオスを訪れる観光客はタイ、ベトナムに次いで中国が3番目に多い。消費額が多い中国人観光客の経済効果は大きい。
中国人観光客は23年に前年比2割増の約37万人と見込むが、1〜4月で既に20万人を超えた。計画には中国語ガイドの育成や、中国各都市からラオスへの航空路線の増便、電子決済の促進を盛り込み、民間企業にも取り組みを促す。
中国政府も自国民のラオス旅行を後押しする。2月に海外団体旅行を解禁した際に、対象の20カ国にラオスも含めた。
ルアンプラバン駅の近くには中国鉄道建設会社が拠点を構える(3日、ルアンプラバン)
ラオスの景気回復は中国頼みといえる状況だが、過度に依存するリスクもある。鉄道が通る都市の一部では人民元の利用が広がっており、中国の影響力が強まっている。鉄道だけでなく20年にはビエンチャン郊外で中国からの投融資によって高速道路が造られた。
ラオス経済はコロナ禍や資源高などを背景に悪化し、21年末時点の公的債務がGDP比で9割弱まで高まった。対外債務のほぼ半分を中国が占める。日本貿易振興機構(ジェトロ)ビエンチャン事務所の山田健一郎氏は「中国への依存度が高まれば内政干渉につながるリスクもある」と指摘する。
財政悪化により景気回復が下振れする懸念もある。ラオス通貨のキップは23年5月末時点でドルに対して前年比32%安まで落ち込んだ。国の債務が膨らみ、自国通貨への信用度が下がっているのが一因だ。輸入に頼る燃料の価格などが上昇し、国内消費が停滞する可能性がある。
(ビエンチャンで、赤間建哉)』