ウクライナの原発取水ダム、爆発で決壊 住民避難

ウクライナの原発取水ダム、爆発で決壊 住民避難
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『【イスタンブール=木寺もも子】ウクライナによると6日午前2時50分(日本時間午前8時50分)ごろ、ロシア軍占領下の南部ヘルソン州カホフカ水力発電所のダムが爆発で決壊した。このダムの貯水池からザポロジエ原子力発電所が冷却水を取水している。国際原子力機関(IAEA)によると現時点で同原発に差し迫った危険は生じていない。

ウクライナのゼレンスキー大統領は同日午前に緊急の国家安全保障会議を開き、洪水の恐…

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『ウクライナのゼレンスキー大統領は同日午前に緊急の国家安全保障会議を開き、洪水の恐れがある約80の集落に避難指示を出した。SNSへの投稿で「ロシアのテロリストが内部で爆発を起こした」と非難した。

タス通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は「ウクライナ側による故意の破壊行為だ」と主張した。

水浸しになったウクライナ南部ヘルソン市内で避難の準備をする人たち(6日)=共同
カホフカ水力発電所のダムでは2022年11月にも破壊が衛星画像で確認され、ロシアとウクライナはそれぞれ相手方の責任だと主張した。ウクライナ側はロシアがダムを破壊して洪水を起こし、ウクライナ軍の攻勢を妨害しようとしていると警告していた。

貯水池からの給水が滞ってザポロジエ原発で冷却水が確保できなくなれば、原子力災害につながる恐れがある。

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植木安弘
上智大学グローバル・スタディーズ研究科 教授
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ひとこと解説 カホフカダムの破壊は、客観的に見てロシアの破壊工作だというのが妥当であろう。ダムを支配していたのはロシアであり、ウクライナの反転攻勢に楔を打つことができる。ダムという大きな通路を遮断し、ロシアが支配しているヘルソン州の河岸地域を浸水させることによりこの地域での攻勢を防ぎ、上流のザポリージャ州の防衛を固めることができる。ロシアはインフラの破壊は躊躇なくしてきており、クリミア半島に繋がる水の供給にも大きな影響はないと見たと考えられる。IAEAは、現在のところザポリージャ原発への直接的影響はないとしているが、原発を支配しているのはロシアであり、将来的な危険は無視できない。
2023年6月7日 7:57 』