ここで「戦車不用論」に関して基本の知恵を整理しておこう。
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『※ここで「戦車不用論」に関して基本の知恵を整理しておこう。
平原で機動をする味方の野戦軍を、敵の砲兵の脅威から守りたいと思ったら、戦車が役に立つ。しかし今日では、戦車が歩兵を伴わずに前へ出て行けば、必ず敵の歩兵にやられてしまう。味方の戦車を敵の歩兵から守ってくれるのは、じつは、味方の歩兵だけである。
そこで、現代陸軍は、戦車と歩兵をいかに協働させるかを研究し、演練させるようにしている。
ところが、露軍においては、この演練がいつのまにかなくなっていた。じっさいに、今次戦役で、歩兵なしで戦車を投入させてきた。とうぜんそれはうまくいかなかった。
にもかかわらず、ロシア人はそれを改めるつもりもなさそうにみえる。
背景には、次のような思惑があると思われる。
まずロシア政府には、兵隊の訓練にかけるカネがない。そこで戦車を「移動野砲」として運用し、戦車砲による遠距離砲撃と無差別空爆とによって前面の都市を「サラ地」に変えてしまい、敵の歩兵の隠れる場所をなくしてしまえば、戦車と歩兵の協働訓練がなおざりでも、あるいは歩兵なしの戦車だけでも、不覚はとるまい。
じっさい、シリアではこの流儀でなんとかなっていた。
ところが、ウクライナのドンバス地方には、「サラ地」にすべき市街地が多すぎて、さしもの露軍の砲弾も足らなくなってしまった。
しかも、ロシア製戦車には、もっと早くから気付かれていたはずの設計上の根本欠点があることが、隠せなくなった。
すなわち、平原で機動中に敵の野砲弾が至近弾となって炸裂すると、その衝撃波だけで、露軍戦車の内部弾薬は殉爆してしまうのだ。
かくして、旧ソ連型の戦車と、2022-2-24以降のドンバス戦域を「所与条件」とするならば、「戦車不用論」が大いに妥当することになっている。
だが同時に、西側製戦車と、西側軍式の「歩・戦」合同訓練がセットで与えられたならば、戦車は平原で機動する味方の野戦軍を、敵の砲兵の脅威から守ってくれる。
だからNATOはウクライナ軍に西側製戦車を供与するとともに、時間のかかる「歩・戦」合同訓練を強制した。
せっかく供与した戦車を、露軍のように「野砲」代わりに無駄遣いされては、たまらないからである。』