米国務長官、6日からサウジへ 中国対抗へ関係立て直し

米国務長官、6日からサウジへ 中国対抗へ関係立て直し
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN02E5Z0S3A600C2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】米国務省は2日、ブリンケン国務長官が6〜8日にサウジアラビアを訪問すると発表した。サウジを含む中東で存在感を増す中国に対抗するため、米国の関与を強めて関係の立て直しを急ぐ。

国務省の声明によると、ブリンケン氏はサウジの政府関係者と会談する。地域や国際社会での両国の協力のほか、経済・安全保障を含む2国間の課題について話し合う。会う相手は明らかになっていない。

米国は関係が冷…

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『米国は関係が冷え込むサウジとの対話強化に動く。5月上旬にはホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)がサウジ西部のジッダを訪れ、同国の実力者ムハンマド皇太子と会談した。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は2日、記者団に「我々は未来に焦点を当てる。ブリンケン氏の訪問は関係を前進させるメッセージになる」と指摘。「米国が常にサウジの意見に同意しているわけではなく意見の相違はあったが、戦略的な協力が重要だ」と話した。

米国務省高官は2日、記者団に中国やロシアを念頭に「米国が強力なプレーヤーであると地域が理解し、他の競争相手に空白を与えないようにする」と表明した。「米国の目標は各国に選択を迫るのでなく、選択肢を提示することだ」とも語った。

米メディアによると、米政府が中東で大規模なインフラ整備の構想をサウジアラビアやインド、アラブ首長国連邦(UAE)と協議している。中東で影響力を強める中国を意識し、米国が地域で協力を深める姿勢を示す狙いがある。

中東で米国の影響力低下が浮き彫りになっている。3月のサウジとイランの関係正常化は中国が主導し、米国は交渉から外された。サウジと中国は中国の広域経済圏構想「一帯一路」で協力を深め、脱石油依存を目指すサウジの経済構造改革「ビジョン2030」でも連携する。

中国は石油消費の7割を輸入に頼る。世界有数の原油輸出国であるサウジは安定した輸出先の確保と自国産業の育成を重視し、互いにもたれ合う構図が成り立つ。

一方、米国にとって中東の価値は下がった。シェール革命でエネルギーの自立を実現し、かつて原油を依存していたサウジの優先度は低下した。人権問題を重視するバイデン政権はサウジに厳しい目を向け、両国関係はぎくしゃくしたままだ。

ブリンケン氏は今回のサウジ訪問に合わせ、7日にアラブの主要産油国で構成する湾岸協力会議(GCC)の閣僚会合に出席する。8日にはサウジのファイサル外相と過激派組織「イスラム国」(IS)によるテロの脅威への対処策を協議する閣僚会合を共催する。』