NATO、ウクライナの安全「保証」案 外相会合で議論
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR010JD0R00C23A6000000/
『【ブリュッセル=辻隆史】ロシアから侵攻を受けるウクライナをめぐり、北大西洋条約機構(NATO)が同国の安全を一定期間「保証」する案を議論している。短期間でのNATO加盟は事実上難しい。米欧が軍事支援への継続的なコミット(関与)を明示することで抑止力を確保する構想だ。
NATOは5月31日と6月1日、ノルウェーのオスロで2日間の外相会合を開いた。議題の中心は、ロシアとの戦争を続けるウクライナを今後…
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『議題の中心は、ロシアとの戦争を続けるウクライナを今後どう支援していくか。7月の首脳会議の最大のテーマでもあり、今回の外相会合で事前調整が本格化した。
ウクライナはNATO加盟を求めているが、早期の実現は事実上不可能といえる。NATOは加盟国による集団防衛の仕組みをとっており、戦争中のウクライナが加盟すればNATOが即座に参戦することになりかねない。
NATOのストルテンベルグ事務総長は5月、同国の加盟はあくまでも戦争終結後の課題だと明言した。当面のつなぎ案として浮上したのが、協定などでウクライナの安全を保証する計画だ。
ウクライナのゼレンスキー大統領は領土回復後に再び侵略されない「保証」を求めている。NATOも、複数年にわたるウクライナへの軍事支援を安全保障協定などの形で確約する案などの協議を始めている。
ストルテンベルグ氏は1日の記者会見で「戦争を終えた後、ウクライナの安全を将来にわたって保証する信頼できる取り決めをしなければならない」と述べた。
主要加盟国フランスのマクロン大統領も5月31日、NATOがウクライナに「具体的で強固な安全の保証を与える」必要があると主張した。スロバキアの国際会議での演説で述べた。
マクロン氏は保証のあり方に関し「イスラエルの安全保障以上、NATO加盟未満の間」の案を検討すべきだと語った。
NATOに加盟していないイスラエルとは米国が安全保障で組み、多額の軍事支援をしてきた実績がある。マクロン氏はこうした「イスラエル型」の支援を念頭に発言したとみられる。
当面はウクライナが自衛能力を高めるのを各国が助ける。その間にNATO加盟に向けた交渉を進め、ウクライナ軍のNATOの武器や作戦の運用能力を向上させる。協定で各国の関与をより明確に位置づけることができれば「ロシアを抑止できるかもしれない」(NATO関係者)。
ウクライナの安全を一定期間保証する案はこれまでも提起されてきた。ラスムセン前NATO事務総長らは侵攻開始後に「キーウ安全保障協約」と題した提言を出している。数十年にわたる武器支援などを定め、戦闘が始まれば安全の「保証国」が具体的な措置をとるといった内容を含む。
米欧は現状でもウクライナへの軍事や資金面で大規模な支援を打ち出している。ロシアの侵攻は長期化しており、どこまで新しい計画を打ち出せるかが今後の焦点だ。
NATOは全加盟国のコンセンサス(同意)による決定を基本とする。ストルテンベルグ氏は記者会見で、7月の首脳会議での決着に自信をのぞかせた。米国など主要国だけでなく、トルコやハンガリーなどの理解も欠かせない。調整にはスピードも求められる。
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説 集団安全保障条約に基づいているNATOへのウクライナ即時加盟は、米軍を主軸とするNATO軍がウクライナに侵攻しているロシア軍との間で戦争状態に入ること、要するに第3次世界大戦の勃発を意味している。
その一方で、ウクライナに対する軍事支援を続けることによってロシアの暴挙を中長期で食い止める必要がある。
そこで出てきたのが、NATOとイスラエルとの間で結ばれている安全保障協定のモデルを、ウクライナに適用できないかというアイディアである。
米紙ウォールストリートジャーナルによる報道を、日本経済新聞は5月27日、下記のように伝えていた。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO71386460W3A520C2FF8000/ 』