ゼレンスキー大統領、NATO加盟まで「安全保証」要求
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR01ECQ0R00C23A6000000/
『【パリ=北松円香】ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)への加盟と「加盟までの安全の保証」が必要だと述べた。モルドバ中部ブルボアカで開催された欧州政治共同体(EPC)の首脳会議で発言した。欧州連合(EU)への加盟についても「明確で前向きな決定」を訴えた。
EPCの首脳会議は2022年10月のプラハ開催に続き2回目。EUの枠を超えて欧州各国の連携を促すためにフランスのマクロン大統領の提唱で発足した枠組みで、今回は40カ国以上の首脳らが参加した。
ロイター通信によるとドイツのショルツ首相はゼレンスキー氏が求める安全の保証について「ウクライナの防衛と安定」に寄与するよう設計されるべきであり、「ウクライナ自身の防衛能力の構築」も必要だと述べた。マクロン氏は7日にショルツ氏と会談する予定で、この問題についてさらに協議するとした。
ゼレンスキー氏は現地でマクロン氏と会談後、「(ウクライナの戦闘機の)パイロットと技術スタッフの訓練の具体的な枠組みの正式決定に向けて準備するよう、それぞれの国防相に指示した」とする共同声明も発表した。米国を含めた他の国々とも並行して協議するという。
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小泉悠
東京大学先端科学技術研究センター 専任講師
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ひとこと解説
これは昨年以来、ウクライナとNATOの間で話し合われてきたもので、9月には「キーウ安全保障協約」案という素案もまとまっています。これを実際に政策として実装するかどうかが今年7月のリトアニアにおけるNATO首脳会合の大きなテーマとなるでしょう。
問題は、「ウクライナに対する軍事援助と安全保障」が「占領下の領土の放棄」とセットになる可能性でしょう。この場合、ウクライナは簡単に飲まないでしょうし、飲んだら飲んだで戦争の先行きは大きく変わってきそうです。
2023年6月2日 11:35
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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
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別の視点
EUの枠を超えた欧州の連携のための枠組みとして始動したEPC。
今回の招待国は47カ国。欧州におけるロシアとベラルーシの孤立が際立つ。
今回、ホスト国となったモルドバは、ロシアによる侵攻後、ウクライナとともにEU加盟を申請し、昨年6月にEU加盟候補国としての地位を得た国。
これら2カ国とほぼ同時にEU加盟を申請したジョージアに対しては、EUは加盟に向けた努力を認め、加盟候補国としての地位を付与する用意はあるとしながらも、「市場経済の機能改善の取り組みなど、さらなる改革の推進を求めて判断を留保した。
ジョージアの大統領は、今週、欧州議会で早期の加盟候補国の地位を求める演説をしている。
2023年6月2日 12:18』