欧州委員会は、ロシアにデュアル・ユースの工業品を輸出している複数の中国企業に対しての新制裁について、5月8日から討議中である。
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『Vita Spivak 記者による2023-5-29記事「How Sanctions Have Changed the Face of Chinese Companies in Russia」。
欧州委員会は、ロシアにデュアル・ユースの工業品を輸出している複数の中国企業に対しての新制裁について、5月8日から討議中である。
そのいくつかの企業は、すでに米国が先に制裁を課している。特に半導体メーカー。
ロシアからはこれまで1000社を超える外国企業が脱出しているが、中共企業は残っている。
西側企業はロシアからの撤収が遅ければ世論から叩かれる。ところが中共企業はその逆だ。たとえば昨年、レノヴォとDiDiが、ロシアからのひきあげを検討中――と報じられたとたんに中国内のSNSがこの2社を袋叩きにした。
中共の自動車メーカーは昨年、ロシア市場を乗っ取った。侵略開始前には60社がロシア国内にひしめいていたが、侵略後に残ったのが14社。そのうち3社がロシアのメーカーで、11社はすべて中国企業である。
2022年において、ロシア国内で売れた新車の20%は中国車だった。前年の6%から飛躍的に伸びたわけである。
ある予測では、2023年にはシェア40%になるのではないかという。
「Hongqi」というブランドは、中共の特権階級用の高級車ブランドだが、それが今年、ロシア市場に進出した。
また「Omoda」も進出した。「Chery」の子会社で、もともとロシア市場向けに特化した部門である。
22年末、ロシアの家電小売店は、いまや洗濯機、冷蔵庫、ラップトップPC、スマホの部門では、中国メーカーが筆頭供給者であると報告した。
中共側の輸出統計もそれを裏付ける。22年の洗濯機の対露輸出は前年比35.5%の伸び。冷蔵庫は6.4%の伸びであった。
ハイアール社はげんざい、ロシア国内の4番目となる工場を建設中だ。
2022-6にハイアールは、ロシア国営開発融資銀行であるVEBから2億5000万ルーブルの資金を借り出した。VEBは今次戦争勃発直後に西側から制裁を喰らっている。
ハイアールの冷蔵庫は昨年、ロシア市場の20%以上を支配した。
アップルもサムスンも撤退したロシアのスマホ市場は、2022年、70%が中国製品で占められた。
シェアをリードしているのは、「Xiaomi」「Realme」「Tecno」ブランド。
ファーウェイは何のアナウンスもしていないが、2022-3月早々に、黙ってロシアから抜けたようである。
同社はそれまでロシアの携帯電話基地局設備の30%のシェアをもっていたのだが、それを捨てた。
DJI社は、2020年から米政府により投資禁止対象に指定されている。2022-3にロシアのフェドロフ副首相が、DJI製品がウクライナ戦線で露軍によって使われていると発言したとき、DJI社はそれは事実ではないと必死で否定した。しかしすぐ事実を認めるしかなくなった。
2022-3にVISAとMasterCardがロシアから撤収したので、いまや中共の「UnionPay」が、ロシア人の決裁カードの命綱である。しかし同社もロシアの制裁対象銀行との取引は縮小している。
ディーゼルエンジンメーカーの「Weichai」グループは、ロシアのKamazトラックに対するエンジン供給を停止した。米国とEUが2022-6にKamazを制裁対象に加えたので、巻き添えを喰ってはたまらないからである。
Sinopecは、2022-3に、ロシアの石油ガス分野に対する5億ドルの投資計画を、凍結した。』