モザンビーク共和国月報(2 0 2 2年5月)
https://www.mz.emb-japan.go.jp/files/100380545.pdf
『主な出来事
【内政】
•カーボデルカ、’ード州情勢(民兵合法化への動き)
•カーボデルガード州情勢(パルマ郡における襲撃)
•モザンビーク内政(フレリモ党次期大統領候補予想)
•カーボデルガード州情勢(民兵の関与及びウガンダ軍派遣による影響の分析)
•モザンビーク内政(モザンビーク青年協会(〇」M)事務局長の選出)
•モザンビーク内政(フレリモ党組織によるニュシ大統領の同党指揮継続に対する支持表明)
•モザンビーク内政(国家情報治安局長官の交替)
【外交】
•モザンビーク外交(ニュシ大統領のカーナ訪問)
【経済】
•モザンビーク経済(I MF理事会がモザンビーク向け融資支援プログラムを承認)
•モザンビーク経済(世銀によるモザンビークへの財政支援)
•モザンビーク経済(燃油価格の引き上げ)
•電力・インフラ(ムパンダヌクワ水力発電プロジェクト)
•日本企業による社会活動(KARMO L社の社会貢献活動)
【内政】
カーボデルガード州情勢(民兵合法化への動き)
元戦闘員が率いる民兵に武器を渡すことに疑問を呈する団体が多くいる一方で、クリス
トーヴァン・シューメ国防大臣は、モザンビーク北部でのテロとの戦いにおいて、民兵が重
要な役割を担っていると考えている。民兵は「現地軍(Forca Local)」と呼ばれており、カ
ーボデルガード州でテロリストと戦う軍隊を支援している。
同国防大臣は、チャタムハウス研究所におけるインタビューにおいて、民兵の機能の規制
化が重要である旨述べた上で、民兵が法律の範囲外で機能しないように、民兵独自のステー
タス制定の最終段階にある旨述べた。同国防大臣によれば、本法律の制定の目的は、民兵組
織構成員の数や同組織に関する全ての情報を把握し、同組織への参加をより規律あるもの
にすることである。また、同大臣は、モザンビーク国防軍(FADM)が国土全体に対応で
きるようになるまで、武装した民兵組織を活動させる旨、また、FADMが対応可能となっ
た後、民兵達は、武器を持たずに監視任務の遂行にあたる旨述べた。
(9 日付LUS A)
カーボデルガード州情勢(パルマ郡における襲撃)
6 018時頃、1〇人以上のテロリスト集団がカーボデルガード州パルマ郡オルンベ
(Olumbe)行政区の本部を襲撃した。死者は確認されていない。
本襲撃は、モシンボアダプライア村、モシンボアダプライア郡ムバウ(Mbau)行政区及
びパルマ郡プンダニャール(Pundanhar)行政区のルワンダ軍による奪還以来、同軍の支配
下にある地域で確認された最初の襲撃であった。
本テロリスト集団が若者たちによって構成され、飢えから食料を求めて散発的な襲撃を
行っている可能性もある。ここ数日間は、パルマ郡は平穏であることから、多くの家族が同
郡に帰還しつつある。
(1〇日付カルタデモザンビーク紙)
モザンビーク内政(フレリモ党次期大統領候補予想)
ニュシ大統領の後継者争いがまだ始まっていないと考えている人は間違っている。まだ
鋭く研がれた剣はないが、ジョアキン・シサノ元大統領を筆頭とする武装闘争の革命的集団
の最後の生き残りなど、内部の有力者の働きかけは既に始まっている。シサノ氏は、次は子
供の番である旨、家族の中で発言してきた。その子供とは、ニュシ大統領にとって厄介な)
サモラ・マシェル・ジュニオル(注:サモラ・マシエル初代大統領の息子)に他ならない。
サモラ・ジュニオル氏は、本紙に対して、自身が大統領になる意志を持っているかについて
のコメントは避けた。
サモラ・ジュニオルのほかにも、3人の人物が大統領就任の野心を抱いており、すでにそ
の実現に向けて動き出していると考えられている。アイレス・アリ氏は、アルマンド・ゲブ
ーザ前大統領一期目の首相を務めた。また、同氏は、ニアッサ州知事及びイニャンバネ州知
事を務めた前歴において怪しい活動をしていた(folha cinzenta)人物である。さらに、教育
大臣を経験したが、何の遺産も残していない。バジリオ・モンティロ氏は国家の軍事部門出
身であり、カーボデルガード州でテロの最初の兆候があった時、内務大臣を務めていた。モ
ンティ口氏は、カリスマ性もなく、普通の人物でしかない。ルイーザ・ディオゴ氏(注:女
性)は、公共の場での演説や発言など、すでに事前選挙活動を開始している。ディオゴ氏は
すでに首相や計画・財務大臣を歴任している。
フレリモ党の「大統領候補選挙」の予選は「事務所」も巻き込む。本紙の調べによると、
4人の大統領候補のうち2人はすでに内部支持を動員するためのチームや事務所を持って
いるが、今のところ筋書きは水面下で進んでいる。現在の大統領候補のうち、中部出身者が
圧倒的に多い。ルイーザ・ディオゴ氏も中部のテテ出身である。アイレス・アリ氏は北部の
二アッサ出身である。サモラ・マシェル・ジュニオル氏は、さまざまな親和性に包まれてい
る。彼の父(サモラ・マシェル)と母(ジョジーナ・マシェル)は南部出身だが、幼少期は
マルセリーナ・シサノ氏やシパンデ族(北部のマコンデ族)らに育てられた。
(11日付カルタデモザンビーク紙)
カーボデルガード州情勢(民兵の関与及びウガンダ軍派遣による影響の分析)
南アフリカに本拠地を置く独立系研究所である安全保障研究所(ISS)の分析「カーボ
デルガード州におけるウガンダ兵が事態を悪化させる」によると、カーボデルガード州にお
ける武装勢力との戦闘に民兵を関与させるという賭けは、紛争を悪化させ、民族間の対立を
悪化させる恐れがある。
ボルジェス・ニャミーレ研究員によれば、現地においては、民兵は、キリスト教徒が多い
マコンデ族の手先(instrument。)と見られている。また、同民兵組織は、大部分がカーボデ
ルガード州沿岸地域のイスラム教徒で構成されている。同研究員は、武装勢力の標的が主に
マコンデ族であることを指摘し、紛争の民族的側面を強調している。
is sは、カーボデルガード州の武装勢力との戦いを支援するために、モザンビーク及び
ウガンダ両国の首脳が認めたウガンダからの軍事部隊の派遣が、カーボデルガード州の民
族紛争をも悪化させかねない選択肢であると警告している。同研究所の分析によれば、ウカ、’
ンダの兵士は、コンゴ民主共和国の鉱物資源を略奪してきた。また、ウガンダは、同国の反
政府武装組織「民主同盟軍」に所属する武装集団の中にイスラム過激派がいるため、カーボ
デルガード州で発生しているテロを注視している。
(2〇日付LUSA)
モザンビーク内政(モザンビーク青年協会(〇J M)事務局長の選出)
21日、マプト州マトラ市において、シルヴァ・フェルナンド・リヴォーネ氏(当館注:
ザンベジア州モクーバ郡(Mocuba)出身、3〇歳)がモザンビーク青年協会(〇」M)新
事務局長に選出された(当館注:〇」Mはフレリモ党の若者で構成される党組織)。同事務
局長は6 0% (9 3票)の票を得て、4 0% (61票)の票を得たカーボデルガード州出身
のジェメージオ・カンディド候補に勝利した。なお、リヴォーネ新事務局長は、2 0 2 0年
から同職を務めていたアンシーア・タラーパ氏の後任である。
(2 3日付ノティシアス紙及びオパイース紙)
モザンビーク内政(フレリモ党組織によるニュシ大統領の同党指揮継続に対する支持表明)
先週末、アンシーア・タラーパ・モザンビーク青年協会(〇」M)前事務局長(当館注:
OJMはフレリモ党の若者で構成される党組織)が、新しい与党中央委員会を選出する会議
でもある本年9月開催予定のフレリモ党大会開催後の5年間、ニュシ大統領による同党の
舵取り継続を支持した。タラーパ氏は、「我々は今ここで、同志である大統領が更に5年間、
我々の党(フレリモ党)を指揮し続けることへの無条件の願いを再確認したい。第12回党
大会に向けて、我々は大統領と共にある」と述べた。 同発言は、ニュシ氏(大統領兼フレ
リモ党首)に対する大統領3期目の就任を求めたものと受け取られ、メディアやSNSで広
く誤解を招いた。
フレリモ党は本年9月に党大会を開催し、新しい党首、事務局長、中央委員会などの党組
織メンバーを選出する予定である。フレリモ党の将来の大統領候補は、翌2 0 2 3年、新し
い中央委員会によってのみ選出される。フレリモ党が擁立する大統領候補が大統領になれ
ば、慣行として、「若者(当館注:〇」M)Jの主張を退け、フレリモ党の統制も取りたいと
考えるようになるであろう。
(2 3日付カルタデモザンビーク紙)
モザンビーク内政(国家情報治安局長官の交替)
31日、ニュシ大統領は、ジャネ国家情報治安局(SISE)長官を罷免し、ベルナルド・
リディンバ氏を新しくS ISE長官に任命した。リディンバ新S IS E長官は、2016年
3月2 8日に国家儀典長に任命され、2 018年2月8日に駐ケニアモザンビーク大使に
任命された人物である。
同31日、ニュシ大統領は、ジョイア・アキレーネ氏をSISE副長官に任命した。アキ
レーネ氏の任命は、非開示債務問題の裁判における秘密工作員(SISE)の働きに対する
報酬と見なされている。アキレーネ氏は、SISEが保有する主要会社であるG IPS社の
創設者であり、また、同社は、PROINDICUS社、MAM社及びEMATUM社とい
う非開示債務問題に関わった3社の株主の一つである。
(31日付当地各紙)
【外交】
モザンビーク外交(ニュシ大統領のガーナ訪問)
2 3日、ニュシ大統領とアクフォ=アド・ガーナ大統領は、二国間協力および外交旅券所
持者の査証と労働査証を廃止する協定に署名し、これをもって初めて正式に両国の外交関
係を開設した。フレリモ党は、19 6〇年代にガーナの支援も得て独立戦争を勝ち取ったが、
ガーナとの外交関係を開設しておらず、したがって、ガーナにはモザンビーク大使館は開設
されていなかった。
ニュシ大統領は、アフリカは相互に協力するとの意識はあるが、十分ではなく、モザンビ
ークとしてもガーナの輸出文化から学ぶ必要がある、我々のスステンタ・プロジェクトも食
料安全保障にますます焦点を当てつつあるが、課題もある旨述べた。また、ガーナの貿易収
支における重要な一つの消費財をめぐる経験から学びたい旨言及した。
(2 3日付オパイース紙)
【経済】
モザンビーク経済(IMF理事会がモザンビーク向け融資支援プログラムを承認)
IMF理事会は、9日、3年間で4億7,0〇〇万米ドルの拡大信用ファシリティ(E
CF)取極を承認し、最初のトランシェとして即時に9 ,100万ドルのディスバースが
可能であると発表した。
2 019年のケネス、イダイのサイクロン被害や新型コロナウィルスに対する取組みな
どを支援するための一時的な債務救済を除いて、非開示債務問題が発覚した2〇16年以
降、IMFによるモザンビークへの資金援助は初めてとなる。
(9日付及び1〇日付当地各紙)
モザンビーク経済(世銀によるモザンビークへの財政支援)
11日、プワライ・リディフ世銀モザンビーク事務所代表は、マプトで行われたトネラ
経済•財務大臣との会談後、世銀がモザンビークに対する財政支援を準備している旨述べ
た。また、同事務所代表は、第1トランシ工として3億米ドルの拠出について検討を進め
ており、遅くとも6月3〇日までに世銀理事会で承認されると話した。6月に承認される
見込みの3億米ドルに加えて、2 0 23年と2 02 4年にそれぞれ追加の財政支援につい
て議論する予定である。
(11日付けファーザーアフリカ及び同日付クラブオブモザンビーク紙)
モザンビーク経済(燃料油価格の高騰)
2 3日、モザンビーク・エネルギー規制庁(ARENE)は、24日から燃料油価格を
引き上げると発表した。前回の値上げは3月18日であった。今回大幅な値上げとなった
のは、灯油である。灯油は1リットル当たり、5〇.16メティカルから71.48メテ
イカルになり、42.5%の上昇となった。ARENEは、今後燃料油価格が安定する保
証はない、国際価格がどう変動するかにかかっていると忠告している。
(24日付クラブオブモザンビーク紙)
電力・インフラ(ムパンダヌクワ水力発電プロジェクト)
18日、国際金融公社(IFC)とモザンビーク鉱物資源•エネルギー省(MI REM
E)は、モザンビークおよび他の南部アフリカ諸国におけるクリーンエネルギーへのアク
セスを向上させるため、ムパンダヌクワ水力発電所と関連送電設備の開発で協力する旨発
表した。1,5 0 0 メガワットの出力を持つ同発電所が完成すれば、モザンビーク国内の
増加する電力需要への供給が可能となり、同国を地域のエネルギーハブに変貌させると期
待されている。
(18日付ディアリオエコノミコ紙及び同日付クラブオブモザンビーク紙)
日本企業による社会活動(KARMO L社の社会貢献活動)
トルコに本社を置くKarpowership社と商船三井は、KARMO Lブランドのもと、共同
でLNG発電船事業を実施する。そのKARMOしが、イード・アル・フィトルの祝祭日
に合わせ、ナカラ市で8 0 0人以上の人々にフードバスケットを提供した。寄付を受け取
った人々の中には、孤児院の子供たち、HI V感染者、カーボデルガード州からの避難民
も含まれる。(9日付クラブオブモザンビーク紙) (了) 』