トルコ大統領選、エルドアン氏当選 決選投票制す
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR282FR0Y3A520C2000000/
『【イスタンブール=木寺もも子、アンカラ=久門武史】トルコ大統領選の決選投票が28日投開票され、現職のエルドアン大統領(69)が当選した。選挙管理委員会が発表した。20年にわたりトルコを率いたエルドアン氏の政権がさらに5年間続くことになる。
選管によると開票率99%時点でエルドアン氏の得票率が52%、野党6党の統一候補、クルチダルオール氏(74)が48%だった。アナトリア通信によると投票率は86%…
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。』
『アナトリア通信によると投票率は86%。
エルドアン氏は29日未明、首都アンカラの大統領府で演説し、今年がトルコ共和国成立100年であることを念頭に「トルコの世紀をともにつくる」と団結を呼び掛けた。クルチダルオール氏は「この国に民主主義が来るまで戦いの最前線に居続ける」と述べた。
トルコ大統領選で決選投票が行われたのは初めて。14日の1回目投票ではエルドアン氏の得票率が49.5%で、当選に必要な過半数に達しなかった。同日の議会選ではエルドアン氏の与党連合が過半数議席を獲得していた。
選挙の争点は事実上、「エルドアン政権か否か」だった。エルドアン氏は特に政権の前半、高成長を実現した。首相に就く前の2002年に3600ドルだったトルコの1人あたり国内総生産(GDP)は13年までに3倍に伸びた。
近年は成長重視の極端な金融緩和策の副作用で通貨リラが急落。インフレ率は足元で40%を超え、経済混乱への不満が強まっていた。強権的な政治手法への批判もあり、経済の正常化や民主主義の強化を訴えるクルチダルオール氏を相手に苦戦した。
当選し、大統領府に集まった支持者に演説するエルドアン氏(29日未明、アンカラ)=小林健撮影
ただ、病院や道路などの社会インフラを整えたエルドアン氏の実績を評価する声は強く、最終的にはエルドアン氏が逆風の選挙を制した。政教分離の原則に基づき、かつて公共の場で禁じられていた女性のスカーフ着用を解禁したことなどで、多数派の敬虔(けいけん)なイスラム教徒の支持も得た。
ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領と緊密な関係を維持し、プーチン氏は28日、勝利宣言したエルドアン氏に祝意を伝えた。「主権を強化し独立した外交政策を追求する努力をトルコ国民が支持した証拠だ」とした。バイデン米大統領、スナク英首相や、サウジアラビア、イラン、エジプトなど中東諸国の指導者らも相次いで祝福した。
【関連記事】
・トルコ大統領選、決選は投票率85%超 高水準続く
・トルコ大統領選、開票始まる 決選投票
・写真で見るトルコ大統領選
多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
池内恵のアバター
池内恵
東京大学先端科学技術研究センター 教授
コメントメニュー
ひとこと解説 中進国の罠にはまって勢いの衰えたエルドアン大統領が、過去の高度成長、インフラ整備、地方と、都市近郊の地方出身者に手厚く施した施策の「貯金」で逃げ切った。宗教保守的で権威主義的、トルコ民族主義的な内陸・黒海沿岸部の支持される与党と、大都市・エーゲ海や地中海沿岸部、国境地帯、クルド人地域の野党との間の分断が、地図上にもくっきりと浮かび上がった選挙だった。トルコの民主主義は底堅いが、その結果「エルドアンを支持する自由」「イスラーム教を信じる自由」を国民の半数にもたらしたが、野党、特にクルド系の結社の自由や非宗教的な市民の自由を削減していく傾向が定まっている。非自由主義的な民主主義の代表例である。
2023年5月29日 8:18いいね
46
田中道昭のアバター
田中道昭
立教大学ビジネススクール 教授
コメントメニュー
ひとこと解説 248ページもの大量の文書でできている野党6党の「政策覚書」を見ると、妥協の産物という側面も感じられ、政権をとったあとで本当に統一した方針が実行できるかは要注目でした。決選投票では難民排斥を訴える極右政党とも連携せざるを得なくなり、支持率を下げる結果になりました。高インフレに低金利で対応という非伝統的金融政策のエルドアン大統領はまずは経済の立て直しが必須。結果に最も喜んでいるのは盟友が勝利したプーチン氏ではないかと思います。選挙直前にロシアが仲介、イラン同席でトルコ・シリア外相会合が開かれたこと、先般はそのシリアがアラブ連盟に復帰したことが気になります。西側諸国のトルコとの関係強化が必須です。https://chp.org.tr/yayin/memorandum-of-understanding-on-common-policies/Open
2023年5月29日 6:07 (2023年5月29日 7:08更新) 』