中国、ミャンマー安定へ仲介 難民帰還や国内紛争で

中国、ミャンマー安定へ仲介 難民帰還や国内紛争で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM253XS0V20C23A3000000/

『【ネピドー=新田裕一】中国がミャンマー国軍と周辺国・国内勢力との仲介を積極化している。バングラデシュに逃れた難民の帰還を後押しするほか、少数民族の武装勢力との接触を重ねている。米欧がミャンマー制裁を強める間隙を突いて接近する格好。同国はインド洋と中国内陸部をつなぐ要衝で、中国は中東方面からの資源調達ルートを盤石にしたい思惑もありそうだ。

ロヒンギャ問題で側面支援

ミャンマー国軍当局の代表団は22…

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『ミャンマー国軍当局の代表団は22日までの1週間、隣国バングラデシュ南東部コックスバザール近郊のイスラム系少数民族ロヒンギャの難民キャンプを訪問した。同国政府と合意している難民帰還プロジェクトの一環として400人余りの難民と面談したもようだ。

火災で建物が一部焼失したロヒンギャの難民キャンプ(5日、コックスバザール近郊)=ロイター

ミャンマー国軍は2017年に同国西部ラカイン州でロヒンギャの武装集団に対する掃討作戦を展開。70万人以上がバングラデシュに逃れた。同国政府は早期帰還を訴える。難民キャンプは火災や麻薬、治安悪化などの問題を抱えている。

今回、難民帰還の試みが再開した背景には、中国のミャンマー側への働きかけがあったとされる。バングラデシュ政府も22年8月、中国の王毅(ワン・イー)外相(当時)が来訪した際にロヒンギャ難民の早期帰還への協力を要請していた。

一帯一路の要衝
ラカイン州の情勢は中国の利害にも深く関わる。インド洋に面する同州中部のチャウピュー経済特区では中国の国有企業主導で港湾と工業団地を開発し、いずれは中国と結ぶ高速道路や鉄道を敷設する構想がある。これらを実現するうえで情勢の安定は欠かせない。

中国にとってはアジア太平洋の周辺国や米国との対立が激しくなるにつれ、マラッカ海峡や南シナ海を通らずにインド洋に到達できるミャンマーの地政学的な重要性は高まっている。中国・雲南省からチャウピューに至る「中国・ミャンマー経済回廊(CMEC)」は、広域経済圏構想「一帯一路」の要衝の一つだ。

中国・ミャンマーの国境地帯でも中国の動きが目立つ。鄧錫軍・アジア問題担当特使はミャンマー国軍トップのミンアウンフライン総司令官や、北部カチン州、北東部シャン州の国境地帯に勢力圏を持つ少数民族武装勢力でつくる「連邦政治交渉協議委員会(FPNCC)」と会談を重ね、仲介を図った。

FPNCCは3月中旬、最有力メンバーのワ州連合軍(UWSA)が拠点を置くシャン州パンサンで会合を開き「(クーデター以後の)国内の衝突の終結に向けた中国の関与を歓迎する」と発表した。

米欧制裁の間隙突く

ミャンマー国軍は中国共産党とつながっていたビルマ共産党と敵対したこともあって、中国の影響力拡大への警戒感が強い。だが21年2月のクーデター以後、米欧が国軍への制裁を強めるなかで「中国やロシアなどの友好的な国との協力を深めるしかない」(国軍幹部)と割り切っている。

他方、米欧は国外に逃れた民主派の議員らが結成した「挙国一致政府(NUG)」に接近し、国軍幹部や国軍と取引を続ける企業への経済制裁を強めている。2月にはクレバリー英外相やシャーマン米国務副長官がNUGのジンマーアウン外相と相次ぎ会談。民主派による国軍に対する武装抵抗を支持する立場だ。

政治犯支援協会によると、クーデター後に国軍当局に殺害された人は3160人に達した。多数の村が国軍の空爆などによる攻撃対象となり、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の推計では3月までに140万人の国内避難民が生じた。』