露軍指揮官は、小火器を持たない兵隊を、最前線での塹壕掘りや、その塹壕への弾薬運びに使っている。

露軍指揮官は、小火器を持たない兵隊を、最前線での塹壕掘りや、その塹壕への弾薬運びに使っている。
https://st2019.site/?p=20984

『Carlotta Gall 記者による2023-3-19記事「Inch by Bloody Inch in Ukraine War, Russia Is Closing In on Bakhmut」。

    最前線で記者も目撃した。露軍指揮官は、小火器を持たない兵隊を、最前線での塹壕掘りや、その塹壕への弾薬運びに使っている。

 そして確認した。人数の優位によって露軍は、1インチずつ、確かに前進していると。
 塹壕線を、すこしづつ前へ押し出して行く。この方法なら堅確だ。

 市街戦でも、1ブロックずつ、確保を拡げて来る。

 露軍は、動員した素人の人的資源を、分業させることで、特化させつつある。

 塹壕掘り役は、穴掘りだけをひたすらやらされる。弾薬運びは、タマ運びだけをひたすらやらされる。そして少人数の火器の発射役が、射撃に専念している。これなら弾の無駄にもならず、人の無駄にもならない。

 射撃は、射撃の上手い奴だけにさせればいいのだ。残りの兵隊は、その支援役に回れ。補佐に撤せよ。
 見事である。

 小交戦で、身軽な歩兵がわずかに前進する。するとすかさず、穴掘り兵がそのすぐ後ろに続行して、タコツボを開鑿する。そこへタマ運び役が弾薬を隠し入れる。もし宇軍から逆襲されたら、戦闘員は安全なタコツボの中から、小銃弾や擲弾をふんだんに発射し続けられるわけだ。1人ではとても携行などできない重さの弾薬を、プロ歩兵が必要なときには即座に消費できる。巧妙だ。

 そのタコツボはじきに塹壕線に拡張され、家財道具も推進搬入されてきて、露営可能な「半地下の家」になる。このパターンを繰り返すのだ。

 これが、人数の多さを戦力に転換する方法である。

 塹壕さえあるなら、夜も怖くない。露軍は夕暮れに、「偽退却」をすることがある。それを見た宇軍が、夜更けに前進してみると、しっかりと塹壕内には露兵が潜んでいて、激しい銃撃を食らってしまう。

 市街戦では砲兵がモノを言っている。露軍砲兵が、建物を1棟ずつ、崩壊させて行く。その前進が、止まらない。

 宇軍の期待。露軍の下級兵のモラールは、戦死傷者数に比例して下がり続けている。4月にこっちが攻勢に転じたときには、それが意味をもつだろう、と。』