米高官、高度防空システム「近くウクライナに配備」

米高官、高度防空システム「近くウクライナに配備」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN11D6C0R11C22A0000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は11日、すでにウクライナへの供与を決めたミサイル防衛システム2基が近く同国に届くメドが立ったと明らかにした。ロシアによる大規模なミサイル攻撃に備えた防空能力の向上を急ぐウクライナは米国に支援を求めていた。

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近く到着する見通しになったのは、米国とノルウェーが1990年代に共同開発した中距離の地対空ミサイルシステム「NASAMS」だ。欧州や中東、東南アジアなどの10カ国超が配備し、2005年ごろから米首都ワシントンの防衛にも使っている。航空機や巡航ミサイル、ドローンを識別できるが、現在、ウクライナは保有していない。

バイデン政権は7月にNASAMSをウクライナに譲渡する方針を決めたものの、調達に時間がかかっていた。さらに6基を提供する計画だ。カービー氏は11日、記者団に「最初の2基を近日中に届けられるだろう」と述べた。

バイデン米大統領は10日、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話協議で、最新鋭の防空システムなど自衛に必要な支援を続けると約束した。ゼレンスキー氏も「防空は米国との防衛協力の中で最優先事項だ」との認識を示した。

ウクライナは旧ソ連製の地対空ミサイルシステム「S300」を運用している。米政府高官によると、S300は予備部品の調達がこれから難しくなる公算が大きく、米欧製への切り替えが課題になっている。

ウクライナ政府高官は11日の米CNNのインタビューで、最新鋭の防空システムを保有していれば「ミサイルの半分を迎撃できる」と指摘。10日からロシア軍が強行したウクライナ各地へのミサイル攻撃をめぐり、ロシア軍が撃った84発のミサイルのうち43発を、24機のドローンのうち13機をそれぞれ迎撃したと説明した。

米政府は米欧が経済制裁の一環で発動したハイテク製品の禁輸でロシアのミサイル能力が低下していると分析する。カービー氏は「精密誘導弾が必ずしも狙った標的に命中していない」と指摘。イランからドローンを調達したのは自国産で兵器を賄えなくなっている証左だとみる。
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

クリミアの橋梁爆破への報復として、ウクライナのインフラなど民間施設への大規模なミサイル攻撃にロシアが踏み切ったことは、プーチン大統領の焦りの表れとみることができる。

計画通りに軍事作戦が進捗せず、逆に、すでに占領したエリアの防衛に苦闘している状況。

11日に講演した英情報機関トップのフレミング長官は、ロシア軍の人的物的損害は甚大で攻撃に使える武器も枯渇しつつあると述べた。

ロシア国民の間でも、プーチン大統領が非常に悪い形で状況を見誤ったとの認識が広まっているという。

こうなると自暴自棄になってロシアが核兵器を使用する可能性が警戒されるが、同長官によると、現時点でロシアが核兵器使用に乗り出す兆候はない。

2022年10月12日 7:46 』