米中間選挙まで1カ月 上院は拮抗、下院は共和優勢

米中間選挙まで1カ月 上院は拮抗、下院は共和優勢
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN04D5Q0U2A001C2000000/

米国 – ガソリン価格
https://jp.tradingeconomics.com/united-states/gasoline-prices

 ※ 6月がピークだったようだ…。

『【ワシントン=坂口幸裕】11月8日投開票の米中間選挙が1カ月後に迫った。連邦議会下院選は野党・共和党が多数派を奪還する勢いを維持する。上院は拮抗しており、共和が優勢とされてきた「赤い州」の重要選挙区などでトランプ前大統領の推薦候補は伸び悩む。
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トランプ前大統領は1日、中西部ミシガン州ウォレンの集会で演説し「国の破壊を食い止めたいなら共和党に投票しなければならない。治安回復の第一歩は急進的な民主党を打ち負かすことだ」と述べた。

中間選挙と同時に実施されるミシガン州の知事選には自らの支持候補を擁立した。地元メディアの世論調査によると、民主現職に苦戦を強いられている。焦点となっている上院選の7州の接戦州でもトランプ氏の推薦候補は優位と言いがたい状況にある。

米政治サイトのリアル・クリア・ポリティクス(RCP)の5日時点の分析によると、上院(定数100)の予想は非改選議席を含め民主が46議席、共和が47議席と拮抗し、残り7議席が接戦だ。下院(定数435)は共和が219議席と過半数を獲得する可能性がある。民主は182議席で、残り34議席を激しく争う。

上下両院選の共和候補のうち3割超をトランプ氏の推薦候補が占める。中間選挙の結果は2024年大統領選への立候補をにらむトランプ氏の求心力を左右する。注目を集めるのが上院選で、激戦となっている7州のうち6州でトランプ氏の推薦候補が出馬する。いずれも世論調査で支持率差は5ポイント以内だ。

共和内には過激な主張を展開をしたり資質を疑問視されたりする候補では「予備選を勝ち抜けても、中間選挙の本選で穏健な共和党員、無党派層の支持は得られない」(共和候補の政治コンサルタント、バレット・マーソン氏)との懸念がある。

足元では共和が強い南部ジョージア州でトランプ氏の支持候補の醜聞が取り沙汰される。人工妊娠中絶の禁止を訴えながら、交際していた女性に中絶費用を渡していた過去があると報じられた。トランプ氏は声明を出し「彼は告発を否定しており、間違いなく正しい」と擁護した。

西部アリゾナ州のトランプ氏推薦候補はバイデン大統領が勝利した20年大統領選に関し「自由で公正な選挙をしていれば、トランプ氏は今日も大統領執務室に座っているはずだ」との見解をホームページに載せていたが、削除した。

激戦になった東部ニューハンプシャー州ではトランプ氏を信奉する候補が予備選を勝ち抜いた。ただ共和内にも主張が極端すぎるため中間選挙の本選で勝つのは難しいとの意見が出て、トランプ氏が推薦を見送ったとささやかれる。

民主は中絶の権利保護を争点に据え、女性やリベラル派を結集させる選挙戦を展開する。保守派判事が多数の最高裁は6月、中絶を憲法上の権利と認めた1973年の「ロー対ウェード判決」を覆す判断をした。ロイター通信によると、全米50州のうち12州以上で中絶が禁止された。

バイデン氏は4日「共和はすべての州ですべての女性の選ぶ権利を奪う法律を成立させようとしている」と批判した。中間選挙で多数派を維持すれば、連邦法を制定して中絶の権利を守る道が開けると主張し、有権者に投票を促す。

共和は経済や治安に争点をずらそうと腐心する。9月23日に発表した選挙公約「米国への約束」で支持基盤の動員をめざし、インフレ対応や治安対策など保守色の強い政策を柱に位置づけた。下院トップのマッカーシー院内総務は「民主は自ら生じさせた問題を修復する計画をもっていない」と非難した。

RCPによると、5日時点の支持率で共和が46%、民主が45%でほぼ並ぶ。4月下旬に共和が5ポイントほどリードしていたが、高インフレをけん引してきたガソリンの値下がりとともに差が縮まった。

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は5日に減産を決め、再びガソリン価格が上がる可能性もある。残り1カ月で有権者の関心が揺れる可能性もあり、投票日まで予断を許さない戦いが続く。

▼米中間選挙 任期6年の上院(定数100)の3分の1(35議席)と任期2年の下院の全435議席を争う。現在、上院は民主と共和が50議席ずつで、採決で賛否同数の場合は議長を務めるハリス副大統領が1票を投じる。下院は民主が220議席、共和が212議席で、上下両院とも民主が主導権を握る。

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