リクルート、デジタル給与参入検討 中小企業の利用照準

リクルート、デジタル給与参入検討 中小企業の利用照準
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『2022年9月13日 20:59

リクルートホールディングス(HD)がデジタルマネーによる給与の支払いサービス参入の検討に入った。2023年春にも解禁されて仕組みなどが整い次第、提供を目指す。スマートフォン決済「PayPay(ペイペイ)」のソフトバンクグループなども参入を検討する。銀行口座でなくスマホで会社から給与を受け取れるサービスが広がる可能性が高まる。

デジタル給与では会社が従業員のスマホ決済アプリなどに賃金を振り込める。これまでは現金払いが原則で、銀行や証券総合口座への振り込みが例外的に認められていた。厚生労働省は省令を改正し、早ければ来春にもスマホ決済会社など資金移動業者の口座への支払いを解禁する。

事業会社リクルート社長の北村吉弘氏は「給与の銀行振り込みを簡単にするほか、デジタルマネーなどでの支払い方法も考えていきたい」と話す。中小企業に照準を合わせ、給与の計算を簡単にできる機能なども想定している。

リクルートHDは飲食店や小売店の業務効率化を支援するクラウドサービスを提供している。またキャッシュレス決済端末「Airペイ」のほか、4月には最大100万円まで運転資金をオンラインで提供する「Airキャッシュ」も開始。融資などを媒介する金融サービス仲介業の登録も完了している。

デジタルマネーで会社が従業員のスマホ決済アプリに給与を即座に送金できるようになれば、支払業務を効率化できる。従業員にとっても、ATMなどから給与を引き出す手間が省ける。銀行口座を持たない外国人などへも給与を支払いやすくなり、人手不足の解消にもつながる。

デジタル給与を受け取る口座を提供する企業としては、ペイペイのほか「楽天ペイ」の楽天グループや「メルペイ」のメルカリなど、スマホ決済各社が参入を検討している。23年にもスマホ決済を始めるJCBのほか、スタートアップのKyash(キャッシュ、東京・港)なども参入を検討している。

受取口座の選択肢の広がりに加えて、リクルートHDのように給与を支払う会社側の業務も効率化するサービスが登場すれば、デジタル給与の導入に拍車がかかる可能性がある

リクルートHDは2013年に、POS(販売時点情報管理)レジ機能をタブレット端末とアプリで実現する「Airレジ」の提供を開始。その後、レジの周辺業務にもサービスを広げてきた。デジタル給与はAirペイやAirキャッシュも含めた金融サービス拡充の一環となる。

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