ウクライナ、北東部で攻勢 英「ロシアの前進見込めず」
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『【エルサレム=久門武史】ウクライナ軍が同国北東部で攻勢をかけている。北東部ハリコフ州の知事は14日、ロシア軍が占拠した同州のイジュームでウクライナ軍が反撃を開始したと表明した。英国防省は15日「向こう30日間、ロシアが前進を劇的に加速させる見込みはない」との分析を公表した。
同州知事はイジュームが最大の激戦地だとしたうえで「我が軍は反撃を開始し、敵が後退している方面もある」と明らかにした。米シンクタンク「戦争研究所」は14日「ロシア軍がハリコフ州からの撤退を続けた」と指摘した。同州にあるウクライナ第2の都市ハリコフの市長は同日、ロシア軍が市街地から撤退していると英BBCに語っていた。
ハリコフ州は、東部ドンバス地方でロシアがまだ支配できていない地域の北側に位置する。ウクライナ軍にとってはドンバス地方を巡る戦闘で北からの圧力が弱まれば、東や南の前線での対応にあたりやすくなるとみられる。
英国防省は15日の分析で、ウクライナ東部ドンバス地方へのロシア軍の侵攻が「勢いを失い、予定より大幅に遅れている」とした。2月の侵攻開始から地上戦力の3分の1を失ったと指摘した。士気や戦闘効率が低下しているとし、速やかな回復は不可能だとの見方を示した。
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は15日、ロシア軍はハリコフ周辺から撤退し、ドンバスでの大規模な攻勢も停滞していると説明し、「ウクライナはこの戦争に勝つことができる」と語った。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は14日「ドンバスの状況は依然として厳しい。ロシア軍はなお一定の勝利を示そうとしている」と述べ、東部2州で激しい戦いが続くとの見方を示した。
南東部マリウポリの市長顧問は15日、ロシア軍が「非人道兵器」とされる白リン弾か焼夷(しょうい)弾を使って、ウクライナ側が抵抗を続ける製鉄所を攻撃した疑いがあると訴えた。西部リビウ州知事は同日、ポーランドとの国境に近い軍事施設がミサイル攻撃を受けたと明らかにした。
東部ルガンスク州の知事は15日、SNS(交流サイト)で前日に同州の都市セベロドネツクの病院がロシア軍の砲撃を受け、市民9人が負傷したことを明らかにした。
ロシア国防省は14日、親ロ派が大半を支配するルガンスク州との境界に近いドネツク州北部でウクライナ軍の指揮所や弾薬庫計7カ所を精密誘導ミサイルで攻撃し、約100人を殺害したと発表した。
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説
ロシア軍の劣勢が続いている。北部ハリコフ周辺からは撤退したもようであり、南部でも艦船の被害がいくつも出ている。東部での攻勢は目立った戦果を挙げていない。
こうした中、ウクライナ国防省の諜報部門トップが英スカイニュースのインタビューで、ロシアのプーチン大統領に対するクーデター計画が進行しているとの見方を14日に示しており、注目される。諜報部門の人間による発言であるため、ロシア側の人心かく乱を狙った策略ではないかとみられるものの、節目の5月9日をすぎても軍事作戦を終える道筋が見えず、プーチン大統領は内心焦っているだろう。
2022年5月16日 7:45 』