ロシア軍幹部、南部完全支配に言及 モルドバ領と接続も

ロシア軍幹部、南部完全支配に言及 モルドバ領と接続も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR22ELN0S2A420C2000000/

『【ロンドン=木寺もも子】ロシア軍幹部は22日、ウクライナ侵攻作戦の目標は同国東部に加え、南部を制圧することだと明らかにした。一方的に編入したクリミア半島やロシア系住民が独立を主張するモルドバ領とも地続きの支配域を確保するという。

事実ならロシアは南部の都市オデッサなど黒海の北岸全域を標的としていることになる。ただ、ロシア黒海艦隊旗艦の巡洋艦「モスクワ」はウクライナ軍のミサイル攻撃を受けて沈没した。地上戦でもロシア軍が苦戦するなか、実現性を疑問視する声もある。

タス通信などがロシア軍中央軍管区のミンネカエフ副司令官の発言として報じた。ペスコフ大統領報道官はこの発言内容についてコメントを避けた。

ミンネカエフ氏は、作戦の新段階が2日前(20日)に始まったとしたうえで、「作戦目標の1つは東部ドンバス地方のほか、南部を完全に制圧することだ」と述べた。ウクライナが南部の海岸線を失えば、重大な経済的打撃を受けるとも指摘した。

ロシア軍はこれまで東部全域の「解放」に注力するなどと表明していた。ミンネカエフ氏の発言が事実なら、ウクライナ側が支配を維持している南部の要衝オデッサやミコライウなども制圧の目標に含まれることになる。

ウクライナ国防省は、ロシアがこれまでウクライナ政権などを「ナチス」と呼んで排除を掲げていたことを念頭に「彼らは取り繕うのをやめた」「(目的は)ウクライナ東部、南部を支配するという帝国主義だ」などとツイッターで非難した。モルドバが次の標的になるとも主張した。

モルドバ外務省は声明で、ロシア大使を呼び出して「深刻な懸念」を伝えたと明らかにした。ウクライナ国境沿いのモルドバ東部・沿ドニエストルでは、1990年にロシア系住民が独立を宣言し、ロシアの支援を受けている。モルドバや国際社会は認めていない。

ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリや東部ではロシア軍による包囲戦やミサイル攻撃などが続く中、多くの民間人が取り残されている。ウクライナのベレシチュク副首相は22日、英BBCラジオで、ロシア軍による攻撃などの危険から避難回廊が設置できていないとして、国連の関与を求めた。

国連は、グテレス事務総長が26日にモスクワを訪れ、ラブロフ外相と会談するほかプーチン大統領とも面会すると発表した。

【関連記事】遺体遺棄の穴200以上か マリウポリ近郊衛星画像 』