国際協調、遠い復活 強権大国の厚い壁

国際協調、遠い復活 強権大国の厚い壁
混沌のアメリカ、試練の新大統領(下)
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 ※ 米欧関係も、「リソースの配分の取り合い」で、斬ることができると思う…。

 ※ 中心となるのは、NATOだ…。

 ※ 予算の7割を、米国が負担している…。巨額の軍事予算を、つぎ込んでいるわけだ…。

 ※ そこを、「もはや、そういう高負担には、耐えきれない…。」と言い出しているわけだ…。

 ※ 「少なくとも、GDPの2%までは、負担して欲しい…。」と言っているわけだ…。

 ※ しかし、そうなると欧州側が、「それでは、国内が保たない(もたない)…。」と言うわけだ…。

 ※ トランプ氏は、そこを「明らさまに」語って、ひんしゅく買ったわけだ…。

 ※ 問題の「構造」は、何ら変わることは無い…。

 ※ トランプ氏が去っても、残るのは「ソフトなトランプ主義」「洗練され、上品なトランプ主義」という図式のように思う…。

 ※ ただ、「言い方」「表現の仕方」がもの柔らかになっただけのこと、だろう…。

『「バイデン政権は多国間協力を重視し、世界への関与を深めたいと思っている。だが、その通りに実行できるとは期待しないでほしい。国内の格差や分断を癒やすのに忙殺されてしまう」。米国でバイデン政権が発足する直前、同氏の側近は欧州の一部有識者らにひそかにこう伝え、理解を求めた。

世界を束ねる余力は米国にはない。そんな政権の内情を映すバイデン外交の指針が、「米国の中流層のための外交」だ。

大統領補佐官(国家安…

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大統領補佐官(国家安全保障担当)のジェイク・サリバン氏が昨秋から流布させている考え方で、格差にあえぐ中流層を助けることに外交目標をおくというものだ。本質は米国最優先のトランプ外交と変わらない。

新型コロナウイルスや気候変動など、地球は共通の危機に襲われている。だが、米国は内憂に忙殺され、中国など強権大国は国際協調よりも自国の利益の追求に動く。

2020年12月14~16日に予定していた米中両軍の定期対話で、前代未聞のできごとがあった。オンラインで開くはずだったが、米側によると中国軍がすっぽかし、姿を見せなかった。中国海軍の艦船数は米軍を抜き、中国軍内には「米軍に下手に出る必要はない」という強気の空気が生まれている。

「世界は(これまでの)1世紀見られなかった深い変化の中にある。時機は我々に有利だ」。習近平(シー・ジンピン)国家主席は1月11日、中国共産党内の会議でこう説いた。習氏は米国が衰退に入ったとみて、米主導の世界秩序を一気に変えるつもりだ。

そこにロシアも加わり、米国への揺さぶりを強める。国連安全保障理事会の常任理事国である米国と中ロが反目すれば、安保理は動かない。世界貿易機関(WTO)に加えて、世界保健機関(WHO)など他の国際機関の機能も衰えてしまう。

米国と中ロの対立は、米ソ冷戦後の1990年代にも続いた。だが、当時は経済、軍事ともに米国の1強であり、公正な通商ルールづくりや民主主義を単独でも率いることができた。

いま米中の力関係は様変わりし、2028年にも両国の名目国内総生産(GDP)は逆転する見通しだ。足りない米国の指導力を日欧が補い、自由で開かれた通商と政治の秩序を支えるしかない。

ただ米欧日が結束を取り戻すには時間がかかる。欧州には北大西洋条約機構(NATO)からの脱退をちらつかせたトランプ時代に深まった米国への不信がこびりつく。欧州は対米協力の代価として、対中ビジネスを犠牲にするつもりもない。

米側にも不満がある。欧州連合(EU)は昨年末、中国との投資協定に合意した。欧州がバイデン政権の発足を待たなかったことに、米側は内心、強い不快感を抱いた。

昨年秋まではトランプ氏と親しい安倍晋三前首相が米欧を取り持ち、主要7カ国(G7)の協調を演出する場面があった。米欧とともに、民主主義国の協力を支える日本の役割もさらに大切になる。(本社コメンテーター 秋田浩之)