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『【ワシントン=鳳山太成】バイデン米大統領は21日、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、ワクチンの供給加速などを目指す計10本の大統領令に署名した。戦時下の大統領権限を活用する。就任2日目に新政権の包括的なコロナ対策を打ち出し、喫緊の課題に取り組む姿勢を表した。
バイデン氏はホワイトハウスで「失敗が悲惨な犠牲をもたらした」とトランプ前政権の対応を批判した。40万人超と世界で最も多いコロナの死者について「来月には50万人に達する可能性がある」と指摘し、対策を急ぐと表明した。
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新政権はコロナの抑制に向けた「国家戦略」を公表した。ワクチンの供給加速など7つの目標を盛り込んだ。戦略を実行に移すため、①ワクチン・検査・医療品の供給拡大②地方政府の支援③治療法の開発④学校再開支援――など10本の大統領令に署名した。
ワクチン材料や医療用マスクなどの不足を解消するため、1950年の朝鮮戦争下で成立した「国防生産法」を使って企業に必要な材料の生産を優先するよう命じる。犠牲者が黒人や低所得者に偏らないよう格差是正を目指す組織を立ち上げる。
空港や電車など公共の場でのマスク着用や、航空客の米国到着後の自己隔離も改めて求めた。ワクチン開発に各国が共同出資・購入する枠組み「COVAX(コバックス)」に参加するなど、国際連携を進める大統領令にも署名した。
新政権は就任100日以内に1億回分のワクチンを投与する目標を掲げる。全米に接種拠点を整備するなどして供給を加速させたい考えだ。米疾病対策センター(CDC)によると、20日までに1回目を接種したのは1427万人にとどまる。
バイデン氏は就任初日の20日も、連邦施設のマスク着用義務化や世界保健機関(WHO)の脱退撤回を決めるなどコロナ重視の姿勢をアピールする。ただ国防生産法の活用などはトランプ前大統領も使った政策であり、新政権が独自色を出して成果を上げられるかは不透明だ。
バイデン氏は20日、温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」への復帰など計15本の大統領令に署名した。新大統領就任からこれだけ多くの大統領令を出すのは異例だ。米社会の混乱や対立が続くなか、政策の転換を国民に印象づけて支持を広げる狙いがある。
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